二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボンゴレ一世と亡国の王女 ( No.7 )
- 日時: 2010/03/09 16:51
- 名前: 蒼井瑞希 (ID: 8TaBVFdu)
第三話
パチパチと暖炉の燃える部屋。
「とりあえず、これを飲め。落ち着くから」
ジョットと名乗った男は、割れたカップを使用人らしき人物に片づけさせ、新しく紅茶をいれたカップを差し出した。その仕草が優しいので少女もホッとして、それを受け取る。
「…おいしい」
紅茶を一口飲んで、少女はつぶやいた。うつろだった目にかすかな光がともる。
「これ、ここで作ったフレーバーなんですか?」
「いや、取り寄せた」
そう言ってから、黙るジョット。
「やはり…全て忘れてしまったんだな」
「え?」
きょとんとする少女を見てジョットが困ったように微笑む。それから、おもむろに口を開いた。
「……お前の名は、レイアという」
「れい……あ?」
「そうだ。この紅茶は、お前が気にいっていたんだ。 ……覚えてないか?」
「うーん…覚えてない…です」
首をかしげる少女。
「そうか…」
ジョットは、目をふせた。
「ジョット……さん…?」
少女は少し不安になり、その瞳を覗き込んだ。何も知らない自分と、そんな自分にも優しく接してくれるジョット。二人の間には、一体どんな関係が…。
「何でもない。気にするな」
再び微笑むジョット。
その微笑みも、心からじゃないように見える。申し訳なくて、少女はうつむいた。
「……」
今度は少女が黙ってしまう。
「聞いてくれ。クレア」
真面目な瞳のジョット。少女の肩にそっと手を置く。
「お前は…」
『ガッシャーン』
その時、いきなり窓ガラスが割れ、何かが飛び込んできた。
「きゃあっ」
「くっ」
少女をかばうように、上にジョットが覆いかぶさる。
「な…何……?」
おびえる少女とは逆に、ジョットはあきれ顔だ。
「まったく…。何度目になるんだ」
舞い上がる砂埃の奥でゆらりと起き上がる人物。
「用ってなんだい?」
金色の髪、切れ長の目、色白の肌。
「あとでちゃんと説明する。会議室に来てもらえるか
?」
ジョットは笑みを浮かべて、その人物を見た。
「アラウデイ」