二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻想郷放浪記 ( No.17 )
- 日時: 2010/11/07 12:00
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
…あれからどれくらい経ったのだろうか。
数日経ったのかもしれないし、まだ一日ぐらいしか経ってない気もする。
曖昧なのは、ここに時計の類がないからだ。
窓さえあればいいのだが、残念ながらどこにもない。ある物といえば蝋燭が立った灯篭(確かこんな名前だったはず)だけだった。
とにかく不便で仕方がない。こんなところに居たら気がおかしくなるかもしれん。ないだろうけど。
ぼんやりと光る灯篭を眺めながら、いつの間にか眠っていた。
「起きろー!」
「うおっ!?」
いきなりデカイ声が頭に響く。目を擦って声を出した主を確認する。
それは鈴仙と同じようなウサ耳をつけた少女がいた。
「い、一体何なんだよ?」
「詳しい話は後で! 今からここを出るよ!」
「出るったってここは密室で……」
ここで俺は気づく。——少女はどうやって入ってきた?
少女の後ろを確認すると穴が開いている。何か爆発でもさせたかのような感じの穴だった。
「もしかして、むりやりここを?」
「そうだよ。師匠に頼まれてね。さあ、さっさと行くよ。時間が無いんだ」
「待ってくれ。せめて名前を教えてくれないか?」
「私は因幡てゐ。ここの兎だよ」
「よし……じゃあ因幡。行きながらでいいから簡単に状況を説明してくれ」
因幡はこくっと頷くと走り出した。俺も後に続く形で走った。
「まず、ここの住人が謎の神経毒にやられた。…師匠も含めて」
「神経毒!? 大丈夫なのか!?」
「解毒剤があったから一命は取り留めたよ。私はそのときたまたま寝ていたから被害は免れた」
「そうか……鈴仙はどうなんだ?」
「姿は一つも見ていないよ。どこかでふらついてんじゃないの?」
「そうだといいな……」
「で、師匠にあなたを探してと頼まれてね。力技だけど何とか見つけれてよかったよ」
「文字通り力技だな」
「師匠が急ぎの用事だっていうから——」
因幡の言葉が止まり、身体も止まった。
「おい、どうし……」
「伏せてっ!」
因幡の言うとおり伏せる。
次の瞬間、頭上を何かが通って行った。
「な、何だ……!?」
「小型のナイフみたいだね。本気で殺しにかかってきてるみたい」
「誰が」
「決まってるでしょ。……毒を盛った犯人だよ」
「どうにかならないものか……」
「これはもう犯人を叩くしか解決しないよ。……ただし五体満足で解決できるは別だけどね」
因幡の言葉はかなりの重みがあった。
「どうする? あんただけでも安全な場所に連れて行くけど……」
「いいや、行かせてもらう」
「何で? 足手まといになるかもしれないよ?」
「……足手まといになってもいい。とにかく俺を連れていってくれ。じゃないと……俺は裏切り者だ」
「……あんたも犯人の大体の目星はついてるみたいだね。いいよ。連れて行ってあげる。ただし自分の身は自分で守りなさいよ」
「オーケイ。そんなことは百も承知さ」
そして俺たちはまた走り出した。
……不思議なことにトラップは出てこなかった。
二話分書きためてたので放出。
犯人は想像におまかせします。
ではではー。