二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻想郷放浪記 ( No.18 )
- 日時: 2010/11/07 12:03
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
俺は永遠亭をすべて把握したわけではないが、ここは大広間だろうか。明かりも無く闇だけが広がっている。
瞬間、弾丸が飛んできた。
その弾丸をすんでのところでかわす。月明かりが役に立ってくれてよかった。
そして……犯人は現れた。
「……」
「鈴仙……なのか……」
「……ええ。毒を盛ったのは私よ。てゐは計算外だったけど……まあいいわ。貴方たちはここで死ぬもの」
「鈴仙……なんでこんなことをしたの!? 何で師匠を!?」
「何でって、決まっているじゃない」
鈴仙はそこで言葉を区切り、息を深く吸い込んで続けた。
「鬱陶しいからよ。いつもいつも私のしたいことを邪魔して……あんたたち兎の失敗の尻拭いはいつも私。八意永琳は鬱陶しいあだ名で呼んできて……だからやったわ。」
「たった……それだけのために……?」
「これ以外に理由なんてない。私はもう疲れたのよ。だから……あんたはここで死になさい」
そして鈴仙は『跳んだ』
しかしその距離がありえない程だった。間合いは10mはあったはずだが、それを一歩で詰める。
「!?」
戸惑っている因幡に容赦なく拳を腹に入れる。因幡は後ろに吹っ飛ばされた。
「因幡!!」
「ぐぅ……」
因幡は腕を抑えている。まさかさっきの衝撃で腕を……!?
「次はあんたよ」
「ちぃっ!」
またも一歩でこちらに寄ってくる。俺はかわすのに精一杯だ。
「鈴仙……! 目を覚ましてくれ……!」
「目ならとっくに覚めてるわ。鬱陶しいやつらのおかげでね」
「何で……何でそうも仲間を傷つけるんだ!? ここの兎は鈴仙の友達じゃないか! 八意もだ! お前を愛さなきゃ、お前はここにいなかったはずだろう!」
「仲間? 友達? ハッ、そんな綺麗事まだ言うつもりなの? 愛しているって? 何も知らない癖によく言えるわね。あいつらは私のことなんか——」
「だったら、お前の今までの出来事は全部嘘だってのか!? 楽しい日々は!? 楽しかった遊びは!? 全部嘘だってのかよ!?」
「——!?」
鈴仙があからさまに動揺する。しかしそんなことは微塵も気にせずに話を続ける。
「八意から訊いた。前はもっと輝いていたって! 因幡から訊いた。毎日いっぱい遊んだって! 鈴仙も楽しかったって! それは全部……全部嘘なのかよ!? 答えろよ鈴仙! 答えてくれよ!」
俺が言い切ると同時に静寂が訪れた。
それはまるで鈴仙の言葉を待っているかのようだった。
ポツリと鈴仙は言った。
「……楽しくないわけ、ないじゃない……楽しかったわよ……でも……それと今とは関係ない……関係あるもんですか……!!」
「鈴仙……」
「ここであんたたちを殺して私は自由を手にいれるわ……あはは……これで苦しかった毎日から開放されるわ……あはは……あははははは……
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!」
そして鈴仙は構え、呟いた。
「これで終わりよ……」
鈴仙が近づいている。あの、異常な移動で。
俺は鈴仙を止めるために走った。鈴仙の狙いは、因幡だったからだ。
「間に合えっ!」
一秒。俺は因幡の元へ行く。
二秒。鈴仙は因幡の顔目掛けて拳を繰り出す。
三秒。俺は、『鈴仙の腹を殴った』同時に鈴仙は『空中にパンチをした』
四秒。倒れる音がする。どうやらいい感じに入ったようだ。
「……はやくとどめを刺しなさいよ」
「……誰が俺のダチを殺さにゃならんのだ。立てよ」
鈴仙に手をさしのべる。が、鈴仙は手を引っ叩く。
「何もしないで。……そこまで私はヤワじゃないわよ」
「ん。そうか……俺は因幡を八意まで運ぶ。後ろから殺りたきゃ殺れ。隙を見せているのはこっちだからな」
そう言って彼は、てゐを連れてどこかに行った。
……もう何かが吹っ切れた。今まで自分を守ってたのがバカみたい。
後で皆に謝らなくちゃ。それから、師匠にも……私に師匠と呼べる権利はあるのかな……
そして、世界が暗転した。
ども、久しぶりっす。
次回、永遠亭編完結っす。……実はこのあとすぐに書こうと思ってます。
どうせ終わるならきりのいいところでってことで。
ではではー