二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻想郷放浪記 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/07 04:13
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
「あー…どこなんだここは」
俺は見知らぬ場所で寝ていた。いや、倒れていたというのが正しいか。
辺りは木が生い茂って、お世辞にも綺麗とは言い難い。
「ふー。何か厄介なことになったねぇ」
取り敢えず煙草を吸う。それほど気にしなかったものの、少しは動揺している。
ま、歩きまわるとしますか。
そこは不気味だった。
そもそも今昼なのか夜なのか分からないし、どこを見ても同じようなところだった。
うーん、樹海か?
いやでも俺恨まれるようなことしたかな…あー心当たりがないとも言えないが…
てかそもそもこの辺りに樹海なんて無かったし。
てことは、あの場所からかなり離れた場所ってことになるな。はー、面倒なことになったねぇ。
歩く度に枝が小気味いい音を立てて折れる。しかし場所が場所だけあってかなり響いた(ように感じた)。
「ふー…一体どこなんだろうな、ここ」
俺のひとりごとは無残にも森の中に吸収されるだけだった…と思った。
しかし、不意に返事が返ってくる。
「ここは普通の森だぜ」
「あん?」
声がする方向に向いてみた。するとどうだろうか。上空に空を飛ぶ少女がいた。
幻覚をみている訳でもなさそうだ。思わず煙草を落としそうになる。
「そこで何してるんだ? まさか迷ったとか」
「何をしている、か。見ての通り一服ついていたところだ」
「へー。じゃあここからどう行けば出れるか知ってるわけだ」
「知る訳ない。さっきここに来たばかりなんだからな」
そこまで言うと急に少女は顔をしかめた。
「何? あんた、どうやってここまで来た?」
「それも知らんな。少なくとも起きたときにはここにいた」
「…ふむ」
少女は顎に手をついて考えるポーズを取った。そして何かを納得したかのように手をポン、と叩いた
「なぁ、ここがどこだか知りたいか?」
「どこって、さっきお前が普通の森って言っただろう」
「そうじゃなくてな。ここはお前の元居たところとは違うんだよ」
「…ふーん。まぁだからとはいえ別に知る必要は無いな」
「どうしてだ?」少女は首を傾げる。
「別に知ったところでどうかなるわけじゃないだろう。それに、ここはだんだん気にいった。知ってがっかりするようなことじゃ困るだろ」
「まぁ、それもありか」少女は頷く。
「はい、ってー訳で。俺はもう行くわ」
「おう、じゃあな」
「…あ、ちょっと待った」
「なんだ? やっぱり知りたくなったか?」
「いや、煙草持ってねぇかな。切れちまったみたいでさ」
その時の少女の呆れ顔は忘れることはないだろう。多分。
第一話終了。
ではでは。