二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 幻想郷放浪記 ( No.22 )
日時: 2010/05/25 22:18
名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)

「寒い」
今俺がいる場所を一言で表すとこれが一番しっくりくる。
しかも霧が出ている。おかげで辺りが見えないのが残念だ。
天気も分からない。全体的に曇ってる気がする。空まで見えない霧とかどうなの。
こっちはシャツ一枚にズボンと言うシンプルな服装で服が肌にビッタビタにくっついて気持ち悪いことこのうえないないぜこんちくしょー。
あーあー、もう何もかも投げ出したくなった。
てかこれじゃあ煙草湿気るな。あーめんどくさいぜヒャッハー。
……いかんいかん。精神がだんだん崩壊していくような感じがした。
落ち着け。これはきっと試練なんだ。この土地に対する俺への試練だそうに違いないってかそうだ。
よっしゃーなんかやる気が出てくるような感じがし始めた。久しぶりに走ってやるぜヒーハー。
あーでも疲れるからやっぱやm

「うっさい!」

「痛ぇ!」

考え事をしていたのになんかぶつけられた。理不尽だ。
見るとそれは妖精だった。
いやここの妖精の基準で考えてくれよ?
まあつまりサニーとかの大きさと同じってことだ。
いかにも『わんぱく』という言葉が似合いそうな妖精で、大声で色々文句を言い始めた。

「さっきからブツブツうるさいのよさっきから! あんたあたいの土地に踏み込んで何やってんのさ!」
「え?」

ああ、聞こえてたのね……ぶつぶつ言ってたのね……
俺のバカヤロウ。

「え〜と、その、すまない。これからの方向性とこれからの生き方についてちょっと考え事をしていてだな」
「『ほーこーせー』だの何だの難しいこと言わないでよ! 頭が痛くなるでしょ!」
「あーすまない。まあ要するに考え事だ」
「なるほど。それでぶつぶつ言ってたのね! でもあたいの土地に入るとかどういうことよ!」
「それもすまない。ここにいきなり連れてこられたものでなぁ。ここがどういう場所なのか分からないんだよ」

妖精は俺には危険性が無いと判断したのか、いきなり胸を張って笑い出した。

「あははは! 変なのー!」
「へ、変?」
「だってここが分からない人間なんてそうそういないんだもん」
「そうなのか?」
「そうだよ! あんた名前は? 変わってるから聞いてあげる!」

何か変な感じだけど、まあいいか。

「俺のことはおじさんって呼んでくれて構わない」
「へー、名前まで変わってんだね!」
「うるせーうるせー。で、お前は?」

すると妖精は『待ってました!』と言わんばかりに胸をはり、実に大声で名乗った。

「あたいはここで一番最強な妖精、チルノだよ! よろしくね変わった人間!」




「……で、何でこんなことになったんだろうなー」
「んー? どしたー?」
「なんでもない」

チルノは自ら最強と言った。
……普通最強って他人から言われるもんじゃあ……?
で、何か最強だから肩車しろと言われて、何かもう訳が分からないまま肩車して歩いている。
最近気づいたんだけど、俺って周りに流されやすいんかな?
意見求む。

「あ、もうすぐだ」
「あー? 何が?」
「ん、前見て」
「あー?」

チルノに言われるままに前を見ると——
そこには大きな館が存在した。

「えっ…ちょ、え? CG? CGなの?」
「しぃじぃってなに? 美味しい食べ物?」
「いやなんでもない……えぇー?」

館、だけなら俺が驚く理由は分からないだろう。
俺が驚いたのはその館の大きさだ。
遊園地の敷地ぐらいあるんじゃね? これ。

「何ともまぁ大きいことで」
「ここねぇ、いつも遊んでくれる人が居るんだよ」
「へぇ。是非とも会いたいねぇ。何か紅いねぇ」
「ここには吸血鬼のお嬢様が住んでるんだって。まぁあたいにかかればイチコロよ!」
「吸血鬼……ドラキュラか」
「どらきゅら? なにそれ?」
「んー世界的にも有名な吸血鬼の名前さ。知らないのか?」
「うん」
「そっか。よっしゃ、じゃあ今度教えてやろうじゃないか、ドラキュラを」
「ホントに!?」
「本当さ。友達も呼んでくるといいぞ」
「やった! じゃあ大ちゃんにルーミアにリグルにみすちーに……」

友達の名前なのだろう。次々と名前が出てくる。楽しみなんだろうな。

「じゃあ、もう帰ろうぜ。ちょっとお前の家に泊まらせてほしいんだが」
「いいよ! どらきゅらの事教えてくれるお礼に泊めさせてあげる!」

チルノはなおも元気にしゃべる。よほど嬉しいのだろうか。
そうこうして、俺はチルノを乗せたまま来た道へと引き返した。
俺はまたこの館に来ることになるのだが……それはまた別の話っつーことで——




はい、かなり開きましたね。
定期更新とか考えてたんですけど無理ですね。すみませんめんどくさがりで。
今回、第十八話はいかがでしたでしょうか。
ちょっと読みやすいように工夫をしてみたんですが……どうでしょう?
ってわけで、今回は紅魔郷組が主になりそうです。
チルノにあんなことやこんなことをしていただこうと思ってるので是非お楽しみに。
ではではー。