二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻想郷放浪記 ( No.25 )
- 日時: 2010/06/24 22:23
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
「……ちょっとまずいことになったわねぇ」
「……どうかしましたか? 紫様」
独り言を呟いた紫に、彼女の式である八雲藍が言葉を返した。
「ちょっと予想外の動きを見せたのよ。アレが」
「最近こちらを襲撃している外来人ですか?」
「そう。とうとう……住人に手をだしたわ」
とくにびっくりすることもなく、藍はただ落ち着いて言った。
「そうですか……いかがなさるつもりで?」
「このままって訳にもいかないけど……状況が状況だしね。私たちにはただ見守るぐらいしかできないのよ」
「……やはりあの感覚は戻らないですか?」
藍の言葉に紫は物憂げな顔をした。
しかしすぐにいつもの表情に戻って、心配している藍に笑顔で返した。
「大丈夫よ。多分すぐ戻るわ。……けど妖怪としての力が使えなくて本当に厄介だわ」
「そこまで気に病む必要はないですよ。私にも力が使えればよかったんですけど……」
「ホントにねぇ。藍が私と別だったら、もしかしたら違ってたかもしれないけど。ま、とにかくちょっと出かけるわ」
「あの変わった人間に報告しにいくんですか?」
「そうそう。すぐ戻るから。じゃねー」
紫はスキマを開けてすぐに消える。
そんな主人を見て、自分の式にも心配かけないようにしないといけないとか考えているのだった。
——湖周辺 数分前
「ハァ……ハァ……」
——何とか逃げ切れたか。
全力で突然の客人から逃げた為、膝をついて辺りを確認して、そのまま寝転がった。
——チルノ、無事かな。
——あいつは元気が一番だったが……。
——俺が余計なことさえしなければなぁ。
しかし、それでチルノが帰ってくるのかといえば、違うのだが。
やはり心配はするものだ。ましてや相手が分からないままで何をされるのか分からない状況で。
——ああくそ。煙草が切れてやがる。
くしゃくしゃになった空箱をポケットに突っ込みながら息を整えようとする。
しかしそれはまたも突然の来客に邪魔されることになる。
「こんにちは。気分はいかがかしら?」
八雲紫だ。一体なんのようだと言うんだ。
俺は苛立ちを覚えつつも質問に答えた。
「ああ、気分は最悪だよ。自己嫌悪ってやつだ」
「そう。じゃあ手短に話すわ。少し私たちのところで身を隠しておいて欲しいの」
「? なんでだ?」
「気分転換って奴よ。まぁそれ以外もあるんだけど、ちょっとここじゃ言えないから……ちょっと来てくれる?」
しばし考えこむ。
——紫にしちゃ、何かに焦っている感じがするな。これだと紫自身にもなにかあったのか?
——とにかく、ここは素直に従うか。
「ああ、分かった。じゃあ話を聞いた後に俺からもいくつか質問させてくれ」
「分かったわ。じゃあ早速……」
「おっとっと……ちょいと待ったお二人さん」
「「!?」」
思わず声がした方を向いてしまった。
そこには歳は二十代ぐらいの顔立ちの男が立っていた。
「とりあえず動かずに我々と一緒に来てくれると助かるのだが……」
「嫌だと言ったら?」
「ありきたりな質問だな。まあ俺もありきたりな答えを言おう。……力尽くで、だ」
次の瞬間首にナイフを当てられた。
「……!?」
「あ、動かないでください……」
——もう一人居るのかよ!
「まあ動かなかったら別に命までとりゃしませんよ。とにかく来ていただきたいものですが」
「どうしたものかしらねぇ」
「今貴方達には選択肢が二つしかありません。一つ、大人しく付いていく。二つ、ここで殺される。さあ、どっちを選びます?」
「いやいや、選択肢は三つよ」
紫は楽しそうに笑う。
男は不思議そうに尋ねた。
「なんでしょうか?」
「……そこの男を、逃すってことよ」
「ぬおっ!?」
「キャッ!?」
俺とナイフを当てていたもう一人と一緒に、暗闇の中へ落ちていく。
「ゆかっ……! ちょ、おま!」
「大丈夫。そこの人はおまけだから」
——こんなおまけいらねえよ!
心中でそんなことをツッコミながら、ただ狭くなっていく空を見ていた。
「あー……その発想は正直ないですねぇ」
「そうかしら? 中々面白いものだと思うのだけれど」
「幻想郷の賢者が、そんなので大丈夫ですか?」
「賢者だからこそ、こういうことをしてみたいものなのよねぇ」
「……ま、いいか。とりあえず、逃げようとは思わないでくださいよ? 面倒くさいんで」
「分かったわ。さ、どこでも連れて行っても構わないわ」
——なんていうか、大丈夫かしら……
——正直、不安ねぇ。
とりあえず、男にできるだけ従うようにした。
はぁい、どもです。
第二十一話です。ちょっと他のオリキャラ出しましたが……いいですよね?
名前とかは後々出します。って言っても流石に一ヶ月以内には発表したいです。
ではではー。