二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 幻想郷放浪記 ( No.3 )
日時: 2010/11/07 04:15
名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)

まぁ、あの後この白黒の服の少女に怒られたわけで。
とりあえず肩を(といっても身長差はかなりあるが)並べて話しながら進んだ。

「それにしても湿ったところだねぇ。俺はあんまり好きじゃないんだけどな」
「森っていうのはいつも湿ってるもんだぜ。そしてキノコもある」
「そんなもんかねぇ。てかさっきから見かけるキノコ全部が毒入ってるきがするが」
「キノコはいつもこんな感じだぜ」
「そんなもんか」
「そんなもんだ」

などと言葉のキャッチボールとは言い難い会話を延々としていた。俺は別に構わんけどな。

「そういえばお互い自己紹介してないな」
「あー? そういえばそうだ。じゃあ私から紹介させてもらう」

少女は帽子をとりながら言った。

「私の名前は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ」
「ほほう、魔法使いか。いいねぇ、魔法使い。おじさんも子供の頃は夢見たもんだ。…っと自己紹介だな」

一つ咳払いをして俺も言う。

「俺の名前は…あー、おじさんって気軽に呼んでくれ」
「なんだ? おじさんって言う名前なのか?」
「まーそんなもんだ。ところで魔法使いって言ったよな。早速魔法見せてくれよ」
「おう、いいぜ。私の魔法は凄いからな。よーく見ておいてくれ」

そういうと魔理沙は人差し指を立て、そこから星を出した。

「おーすごいすごい。白黒してるのにかなり派手な魔法だな」
「服の色は関係ないだろ。それにこの格好はちゃんと理由があるんだ」
「へぇ、どんな」
「“魔法使いらしい”だろ?」
「確かにな」

色々話しているうちに魔理沙の家に来た。外見は洋風な感じだ。屋根には煙突までついている。

「おーこりゃすごい。ここに煙草があるってわけだ」
「ほんとおじさんは煙草だけだな。確かに家には数個あった気がするから。持ってっていいよ」
「金ならあるぞ」
「私にお金は必要ない。珍しい物だけで十分だ」
「変わった奴だな」
「おじさんにだけは言われたくないぜ。さぁ、入った入った」

魔理沙が扉を開けて手招きする。遠慮なく入らせてもらった。

「ちょっと待っててくれ。探してくるから」

魔理沙が部屋の奥に行った。
俺は近くにある椅子に腰掛けた。そして部屋を見渡す。
どこもかしこも本が積まれていた。他には紙とか何か変な道具とか。
待っている間暇なので本を手にとる。しかし日本語じゃなかったので元の場所に返した。
魔理沙が煙草の箱…ってかそのまとまり(単位はカートン)を五個ぐらい持ってきた。

「探すと何かいっぱいあった」
「こりゃすごいな。しばらく煙草には困らないな」

早速一箱開けて煙草に火をつける。

「あ、煙草、大丈夫か?」
「いきなり吸い始めてびっくりしたけど、まぁ大丈夫だぜ」
「いやーすまん。お前も一本やるか?」
「遠慮しておく。まだまだ生きたいからな」
「ふむ、その心がけはいいぞ。じゃあ酒でもやるか?」
「そりゃあいい。早速一杯いきますか」

今日は楽しいことばかりだ。


「あーあ、先に寝ちまって…しゃーねーな」

酔いつぶれた魔理沙に、近くにあった布団をかける。
俺も酔いを覚まそうと外に出る。だいぶ暗くなっていた。
煙草を取り出し火をつける。十分に吸い込んだ後吐き出す。それを何度も繰り返した。

「お隣、いいかしら?」

隣に少女が現れた。

「いいよ。煙草吸ってるけど、それでもいいのなら」
「女の子が出たなら煙草を消すのが男じゃなくて?」
「俺は女だからとはいえやめるつもりは無いな。ましてや煙草だなんて。想像できん」
「はぁ…貴方にはデリカシーっていうものが無いのね」

そう言いながら少女は空を仰ぐ。

「いい満月ですね」
「そうだな。かぐや姫でも落ちてきそうだ。そう思わんか?」
「残念ながら、そうは思いませんわ」
「そいつは残念」
「…ねぇ、貴方っていきなり現れて驚いたりしないの?」
「え? あ、そういえばあんたどこから来たんだ?」
「……はぁ」

少女はため息をつく。何か悪いことしたかな?

「あなたって命知らずっていうのかしら?」

いきなり空気が変わった気がした。
森がざわざわと呻き一斉に鳥が羽ばたいていく。
それはこの隣に居る少女——気配がまるで違うこの少女が不機嫌と言うことを指しているのか、そうでないのか、分からなかった。

「貴方は聞いてないから分からないけど、ここは妖怪が出るのよ」
「それで?」
「貴方は今その妖怪に狙われているのよ。少なくとも貴方のすぐ隣の人物が」
「それで?」
「貴方は今すぐ人生を閉じちゃうかもしれないのよ?」
「それで?」
「貴方は殺されたいのかしら?」
「頼めば殺してくれるっていうのか?」

しばらく沈黙がはしる。少女の肩が震えているのが分かった。
そして意外にも、微笑んだ。それはとても愛くるしい顔だった。

「私は殺せと頼まれても殺らないわよ。そんなに悪趣味じゃないし」
「そいつは残念だ。でもまぁ、これで少しは生き延びれたってことかな?」
「そうね。貴方にとっては残念かもしれないけど」
「ああ、とても残念だ」

少女は再び空を仰いだ。

「…また来させてもらうわ。それじゃあ」
「ああ。また、生きてたなら、な」

気がつけばそこに少女は居なかった。満月の夜に出てきたかぐや姫は、その日の満月のうちに帰っていってしまった……


第二話終了。うまくまとめたつもり。
超展開すぎてついていけないかも。
ではでは。