二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻想郷放浪記 ( No.4 )
- 日時: 2010/11/07 04:18
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
眠い。結局夜が明けるまで起きていた俺は切り株の上でずっと変わっていく空を見つめていた。
今日は快晴だ。雲ひとつ無い。これほど清々しい朝はないだろう。
眠気を覚ます為に煙草を一本取り出す。今も頭がぼうっとしている。
何かの気配がしたのでちらっと横を見てみる。
……何もいない。気のせいなのか。
ふと、昨晩の少女の言葉を思い出す。
——妖怪が狙っている——
もしかするとその妖怪かもしれないし、もしかしたら別の何か……妖精的な何かかもしれない。詳しいことはよく知らないが。
ここで俺は立ち上がって森の奥へ行こうとするのをやめればよかったと思っている。
その数分後(数時間後かな?)には帰るに帰れないようなところまで来てしまったからだ。
いくら朝方とはいえども元々暗いところなので結構寒い。夏場には丁度いいのかもしれないが。
「ジグザグに歩くんじゃなかったな。どうやって帰ろう」
煙草を喰わえながら呟く。元はと言えば好奇心に駆られた俺が悪いのに。
ここであることに気づいた。
何やら目の前…2、3mぐらいのところが歪んで見えるのである。
疲れてそう見えるとかではない。はっきりと歪んでいる。
「……」
試しに近づいてみる。やはり、一部分だけぐにゃっと歪んでいる。
うわーやばいよ、何か変なところ見つけちゃったよ。
「…えい」
歪みに手を突っ込んでみる。もしそれが幻覚で木に手がぶつかったら痛いでは済まされないのだが、そんなことも考えず入れてみた。
手は抵抗されることなくすぽっと入った。そして何かに当たる。
試しにぎゅっとつかんでみる。
「……!」
何かが暴れているようだ。しかし音が一切聞こえない。
そういえばここまで歩いてくる時に枝の折れる音とか一切聞こえなかったなーとか思っているうちに抵抗が増す。
何か生き物っぽかったから試しに引っ張ってみる。ものは試しだ。
出てきたのはかなり小さい(小学生くらいの)少女だった。
「うお、すげ! 何かでてきたぁ!」
無邪気な子供のようにはしゃぐ俺。それに対し少女の方はポカンと口を開けている。
「おーい、小娘。お前何て名前?」
「え…! あ、いや、その…えーと…」
もじもじしている。余程怖いのだろうか。
「大丈夫だ。俺は別にお前を取って食ったりしない。約束する」
その言葉に安心したのか表情が少し和らぐ。
「まー改めて聞くけど。名前は?」
「えと、ルナチャイルドって言います…」
「ルナチャイルドか。うん、いい名前だ。俺のことは気軽におじさんと呼んでくれ」
「…本名は?」首を傾げながら訪ねてくる。
「ん、まぁ、ちょっと事情があってな。とりあえずおじさんと呼んでくれ」
「うん、分かった」
とりあえずルナを地面におろす。そして煙草を取り出して目一杯吸った。
「どうだ、一本いるか?」
「いらない。私吸ったことないし…」
「そうか。そりゃ残念」
そして今度は少し小さい酒の瓶を取り出した。
「んじゃ、一杯やるかい?」
「賛成」
「んー、こういうところで飲む酒もまた乙なもんだな」
「そうだね。いつもは木の上で飲んでたから、新鮮だね」
魔理沙の家から何本か持ってきておいてよかった。こうして新たな友と杯をかわすことができたからな。
「あー…で、だ。さっきから妙な視線を感じるんだが」
「えっとぉ…多分気のせいじゃないかな」
「そうか。ん、この酒美味いな」
「本当? あ、美味しいね」
ぐびぐび飲んでいたのだが次第に話の方がメインになってきた。
「へぇ、じゃあルナは妖精ってわけだ。いいねぇおじさんこういう所に来てみたかったんだよね」
「おじさんはここのこと色々疑ったりしないの?」
「んー…だって目覚めた場所が違うってのはどっか異世界に飛ばされたっていう可能性があるわけだし。別に疑わないよ」
「ふーん。あ、そこにある木の実はお酒に合うよ」
「まじか。早速つまんでみるか」
「もう酒が無くなっちまったな。まだ昼前だってのに何やってんだろ俺たち」
「まぁここ涼しいし、火照った身体を冷やすのに丁度いいんじゃない?」
「うーん、そういう問題かなぁ」
頭を掻きながら辺りを見渡す。
そしてまたも変なところを見つけた。
「…なぁ、ここぐにゃってなってないか?」
「あー…えーと、ソレハデスネ…」
「え? 一体何g」
俺の言葉は、その歪みの中から出てきた何かにあたって遮られた。
「ごふっ」
突然の衝撃で目が眩む。が、すぐに体制を整えて出てきた物を掴んだ。
「ぐおー、はーなーせー!」
なんということでしょう。それは、ルナと全く同じ背丈の少女でした。
気まぐれに書いた第三話。
主に三月精の話です。魔理沙はまぁ…またあとで。
ではでは。