二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】幻想郷放浪記【オリジナル】 ( No.46 )
- 日時: 2010/08/19 08:24
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
「風呂?」
「ええ。気分転換などにどうですか?」
少し早めに目覚めた俺はタイムを一人残し散歩に出かけていたのだが、特にすることも無いためさとりに相談してみた。
どうやら俺の気持ちを汲みとってもらえたようですぐに提案してくれた。
「んー。確かに最近風呂に入った記憶がないなぁ」
「やっぱですか。少し汗臭いですよ」
「マジで? こりゃやべぇすぐに入ってくる」
「ええ。あ、浴室はこの先ずっといった突き当たりにありますんで」
「おう」
「ふむふむ、ここか」
突き当たりに来てみたらそこにはデカイ文字で『浴室』と書いてある部屋に到着した。
早速服を脱いで浴槽に入る。
気持ちいいなあおい。
「……」
ここ最近色々なことがあったなぁ。
一日が濃すぎて何ヶ月も経った様な気がする。
……そう言えば、俺に食べ物持ってきてくれてた奴元気かな。
名前は……えっと、誰だっけな。
つい最近のことを忘れるなんてとうとう俺にもボケが始まったかな?
少し苦笑する。
でも、あいつと出会った時のことは何となく覚えてるし……いいか。
「ちょ、大丈夫ですか!」
俺があいつと出会ったのは、雪降る一月の事だった。
食べるものがない俺は路頭に迷い、公園の樹の下野垂れ死ぬことを覚悟していた。
そんなとき、通りかかった少女こそがあいつだった。
少女つっても、体格的に高校生みたいだったが。
「どうしたんですか! 聞こえたら返事をしてください! ああああ、どうしよう救急車救急車……」
「……なぁ」
「あっ! 意識はあるみたいですね! よかったぁ……」
「……何故お前は俺を助けようと思ったんだ?」
「何でって、困ってる人は助けなきゃですよ!」
「いいんだよ、もう。俺は死にたい。そしてこれがいい機会じゃないか。だから」
「そんなことは言っちゃ駄目なんです! こんな事、綺麗事かもしれませんけど、世界には死にたくなくても死ぬ人だって大勢いるんですから!」
「なら俺を助けずに世界の奴を救えばいいだろう」
「だからって見捨てていい理由にはなりません! さあ、早く! 何がどうしたんですか!?」
しっかりした娘だなぁと、俺は思っていた。
それから、俺はあいつから毎日飯をもらうようになった。
本当ならどっか行きたいところだったのだが……
あいつの顔を見ていると、どうしても後ろ髪をひかれる思いになった。
そして、あそこにとどまった。
「……らしくねぇなぁ」
自分に悪態をつきながら湯船から出て行った。
ふう、やはり脱衣所ってのは妙に落ち着くものだ。
なんか気分も少しは晴れたし、さとりに感謝だな。
第三十一話です。
ちょろっと過去編。でも本編のつながりはそこまで深くない。
ではではー。