二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】幻想郷放浪記【オリジナル】 ( No.47 )
- 日時: 2010/08/23 20:49
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
「ふぅ。いいお湯でしたよっと」
風呂に垢がめっちゃ浮いてたなにあれ?
いくら洗ってなくてもそこまではないだろ。
なんか腑に落ちねぇな。
「まあ何が悪いのかって言えば俺なわけだが」
俺は二着めのシャツとズボンと着る。
こんなこともあろうかと一着めのシャツに忍ばせておいてよかった。
おっと、仕組みについてはスルーしてくれ。
そんな感じで俺は浴室から出た。
突き当たりだったから部屋に戻るのは容易いだろう。
俺は入るまで着ていたシャツをしまって、部屋に戻ろうと歩いた。
おかしい。
まっすぐ歩いていたはずなのに気づけば違う場所にいた。
しかも、違う道を行こうとしても特定の位置に戻ってしまう。
なにかおかしい。
立ち止まって辺りを見回す。
どうやらロビーみたいなところに居るみたいだ。
近くには花瓶があって、天井は豪華なシャンデリアがある。
ここからどうも抜け出せないみたいだな。
いっそ、別の道を使うか。あるいは——
「こんにちは、おじさん」
透き通った声が俺の耳に響く。
その声は綺麗だとか思うよりむしろ不気味に感じられる。
俺はその場から振り返ることが出来なかった。
全身から冷や汗が吹き出してくる。
本能的に悟った。
こいつは、やばい。
「んー。こんにちはって言ってるのになぁ?」
そして俺は気づく。
こいつは誰なんだ。
どうして俺の名前を知っているんだ。
聞いたこともない声が、耳に残る。
何なんだ。
一体、何だというんだ。
「もう一回行ってみようかな。こんにちは?」
声を出そうにも出せない。
俺の体は完全に硬直していた。
「……あーあ。返事してくれない、つまんないの。返事が出来ない悪い子は……」
それは一息ついて、言葉を出した。
「……おしおき、かな?」
どんどん近づいてくる。
しかし俺は動けない。
今すぐにでも吐きそうだ。
ここから逃げなければと思っていても体が反応しない。してくれない。
「んふふ。震えちゃってる。大丈夫だよ? 痛くしないから……」
もはや耳に何も入ってこない。
威圧感で押しつぶされそうになる。
そして、ただ純粋な恐怖だけが残った。
「ねぇ。……ねぇったら」
後ろから抱きつかれる。
変なことに、何故か安堵してしまった。
しかし、それでも俺は動けずにいた。
「……本当に怖がっちゃったの? 可愛いなぁおじさんは」
俺は、今なら口が動くと思った。
そして、俺はついに言葉が出た。
「……こんにちは」
「え? ……ああ、こんにちは」
何を言っているんだ俺は?
もっと大事なことがあるだろうが。
「何故俺に抱きついておられるのでしょうか」
「何でって、理由も無しに抱きついちゃ駄目?」
「じゃあ、これだけは言わせてくれ……お前は一体誰なんだ?」
急に今までの空気に変わった気がした。
何だというんだ、こいつは。
そしてそれは俺の前に回りこんできた。
「私はこいし。古明地こいしだよ。よろしくね」
そいつの格好は変わっており、黄色っぽい服に銀髪。
そして胸には、さとりと同じ『目』があった。
どもども。
第三十二話です。ついにさとりの妹であるこいしの登場です。
こいしの口調とかどうしようって考えていましたが、見た目が子供なので口調もそれっぽくしました。
全身図などはwiki参照。可愛らしい姿ですよ。
ではではー。