二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【東方】幻想郷放浪記【オリジナル】 ( No.50 )
日時: 2010/08/27 00:12
名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)

「……で、気分はどうですかな? 紫さん」
「ええ今まで生きてきたなかで最悪ね」
「最近そればっかじゃないですか」

私は牢屋に入れられた。
牢屋と言っても想像していたのとはまったく別で、むしろ宿泊施設のようなところだった。
……当然か。『ここ』はもともと宿泊施設みたいなところだったから。
私の目の前には、少しニヤけた顔をしたブラッドが立っていた。

「……何ニヤついてんのよ」
「いえいえ、幻想郷の賢者がこんな所に軟禁されているのがひどく滑稽でね」
「軟禁しているのは誰よ……」

溜息混じりに言ってみる。正直なところ飽きてきた。
食事は必要最低限。運動も必要な限りのみ。他は一切なく、暇つぶしにとブラッドが話し相手に配属されたらしいんだけど……

「もう何日経ったのかしら……」
「まあここに窓とかないですからねぇ。私も同情しますよ?」
「あっそ」
「さてさて、いつになれば本題を話してくれますかね?」

またか。私はもう一回溜息をついた。
軟禁されて以来ずっとだ。
ことあるごとに質問してくるから正直鬱陶しい。

「……話すことなんてないわよ」
「いやー、ボスがしつこいもんでね。言わないと出さないぞ、って」
「例え体を絞ったって出てこないわよ。ホントしつこいわね」
「ほほう? ……なら、絞らせていたd」
「アンタに絞らせるわけないでしょ変態親父」
「こりゃきついなー」

ハッハッハッと高らかに笑うブラッド。
対する私は本日三回目の溜息をした。

「……して紫さん。あなたはあの男がとても気になっているんじゃありませんか?」
「そりゃ、一応ね。今は文句言わずに動いてくれてるから」
「ほほう、そうですか」
「……何ニヤついてんの蹴飛ばされたいの?」
「SMプレイがお望みで?」
「あんたがでしょ」
「まぁ冗談はともかく、あの男は一体何人にフラグを立てたんでしょうねー」
「知らないし知りたくもない」
「ここで一つ耳寄りな情報!」

いきなり大声をあげる。うるさい。

「もう少し近隣の人のことも考えたら」
「大丈夫です。ここは防音設備ですから」
「だからって大声を出していいってわけじゃ」
「まぁまぁ説教はともかく。あの氷精は時々不可解なことを呟いているわけです」
「はぁ? なんでいきなりあれの話になんのよ?」
「まあ最後までお聞きになさって。氷精の状態は確認済みでしたよね?」
「ええ。とてもボロボロだったわね。とても正気の人間がやることと思えないわ」
「まあ、ある日のことです。いつもどおり彼女と接していたんですけどね。その日はずっとブツブツ呟いていたんですよ」
「さっきも言ってたわね」
「ええ。で、耳をすませて聞いてみたんですよ。なんて言ってたと思います?」
「知らないわよ」
「正解は……『おじさん』ですって」
「……ふーん」
「あら、興味はありませんか」
「少しだけならあるわよ。まぁ何かの約束をしているっていう可能性もあるんじゃない?」
「うーん、ですよね」

その後今度はブラッドがブツブツ言い出し、あーでもないこーでもないと考え始めた。
——あの娘が、ねぇ。
とてもじゃないけど、恋する乙女とは言えないしなぁ。
それとも、初めて出来た人間の友達に依存しているか。
それならあの精神状態でも一応納得はいく。
……うーん、違うよなぁ



「……じゃあ私はこれで」

時計を確認しながらブラッドは扉のノブに手をかける。

「そう、今度は別の人と話してみたいわね」
「……ちょっと悲しいですね」
「あ、ちょ、そんな顔されても……」
「ま、ボスと相談してからですねぇ。……あ、そうそう」

私はすでに次の言う言葉を予想していた。
その言葉は……

「無駄なあがきは、ご遠慮くださいね」
「はいはい、気が向いたらねー」

といっても、私にはほとんど力は残されていない。
妖怪としての力も奪われた私はすでに力は人間以下だ。
そんな状態なのに悪あがきをしろと言うのはおかしいと思う。

「念のためですよ。あなた毎晩スキマを出そうとしてるでしょ?」
「……なんでそれを」
「毎晩毎晩唸り声あげてますからね」
「〜〜〜〜〜〜!!!」

恥ずかしくて枕を投げようとする。
ブラッドは慌ててひっこみ、「おやすみなさーい!」と言った。

「……!」

やはり、持てない。
ブラッドもおそらく私が怒っているのであろうと察したから出ていったのだろう。
……気を使われたようでムカつく。
仕方ない。まだ能力使えるか試してみようかな。





どもども、予定通りに更新できました。
第三十三話、いかがでしょう。
普段当たらないところに視点を向けた結果がこれだよ。
紫のこの行動が後々出てくるようになります。
……実際、後どれくらいで出せるかは分かりませんが。
チルノの精神状態について? スルー推薦。うん……結構ひどい設定にしてます。今は聞かない方が無難かも?
聞かれても答える気はまったくないのですが。
文字数とか気になるんでそろそろ終りにします。
ではではー。