二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【東方】幻想郷放浪記【オリジナル】 ( No.64 )
日時: 2010/11/05 19:03
名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)

「はぁ、はぁ、はぁ……」

俺はボロボロになったさとりの部屋で、ボロボロになった体に鞭を打って立っていた。
目の前にはお空。
お空は笑みを浮かべていたが、それは決して友好的なものでは無かった。


時間は数分前に遡る。
俺はタイムを連れてもう一度さとりの部屋に来ていた。
もちろんさとりの状態を確認する為だったのだが、かなり反動が大きかったのかまだ眠っているという。
タイムはさとりの顔を見ては泣きそうになり、目をこする。

「お空は?」
「こいし様呼んでる。やはり情報源から聞き出さないとね」

俺はそっか、と言ってさとりの顔を改めて見た。
顔は穏やかなのだが、疲労がこちらにも分かるほどだ。見ていてつらい。
よく見ると、第三の目も目を閉じていた。
その時ドアがノックされた。
俺はドアノブに手をかけ——



轟音と共に後ろへ吹っ飛ばされた



「ぐぁ……!?」

何が起きたのか理解する前に痛みが全身に広がる。
誰かが呼ぶ声が聞こえたが、誰かまでは分からない。
口が切れたのか、血の味がする。
俺は、ぼやける目で入り口を見た。


そこには満面の笑みを浮かべたお空が立っていた。


「おじさん、避けて!」

その声を聞いて俺はとっさに横へ転がる。
爆発音と共に俺が居た場所が吹っ飛んだ。

「なんだよけちゃうの?つまらないなぁ」
「おく、う……?」
「次は——よけないでくれるよね♪」

お空が右手に着けた棒みたいなのをこちらに向ける。
とてつもない悪寒が全身を駆け巡る。
あれはまずい。食らったら一溜まりもない。
全身が警報をかき鳴らす。
俺はようやく動くようになった足で今度は走る。
もちろん目的地はお空。

「おくううううううううううううう!!」

あの棒が何かをする前にお空の腹を殴った。
一秒と経たない内にお空は崩れ去った


——かと思っていた。


「おぉぉぉぉじぃぃぃぃさぁぁぁぁん???????」
倒れない。
今のは倒れると確信していたのに、お空はただ身をかがめただけ。
今度こそまずい。
この至近距離、攻撃をまともに受け流す自信はない。

「お燐!タイム!さとり引き連れて早く逃げろ!!」
「おじさんは!?」
「いいから早くしろ!お空は俺がひきつける!!」

俺はお空にしがみつく。
が、その前にお空から反撃を受けた。

「がはっ……!」
「あはははははははは!!無様だねぇおじさん!さあさっさと地面に這いつくばって永遠に眠ってろ!!」

追撃の蹴り。
それを紙一重でかわす。

「お空……!なんで、なんでお前が敵なんだよ!」
「私は最初っから敵だったよぉ???あんな笑顔向けるだけで信用するのが悪いんだよ???」

——だ、大丈夫なのかな……?

じゃああの時の言葉は、

——うん……こんな顔さとり様に見られたら、なんて言われるか分からないから

あの時の決意は、すべて嘘だってことかよ……?

「ねえいつまで時間稼ぎするつもりかなぁ。私はさっさとさとり様を一緒になりたいんだよ?????」
「はぁ、はぁ……一緒、だと?」
「そうだよぉ」

お空は、とてもとても楽しそうに、

「私はね、さとり様が好きなの。とってもとっても。」

まるで恋する乙女のように、

「でもさとり様は他の人のことばかり。だから思いついたの——さとり様を一緒になればいいやって」

お空は笑顔を浮かべていた。

「でもね、それにはおじさん達は邪魔なの。分かる?邪魔なんだよ?だからさ——死ね」

お空は右手につけている棒を俺に向ける。
もう駄目だ。この距離で、この体力で完全には振り切れない。
五体満足では帰れない。

——お燐、タイム、さとり。すまない——

俺は心の中で呟いた。






どうもどうも。
やはり長く空いてしまいました……
さて、第四十二話はいかがでしたでしょうか?
今回の異変——テーマは『歪んだ愛』
さて、とうとう本性を表わしたお空。
まるで、あの時の言葉は嘘のよう。
本当にお空はこうなることを望んでいたのでしょうか?
そしておじさんの運命は?
たまにはこういう演出もいいかなと思ったのでここで終わることにします。
ではではー。