二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】幻想郷放浪記【オリジナル】 ( No.72 )
- 日時: 2010/12/06 01:04
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: lBubOowT)
あれからどれだけ経ったのだろうか。
数時間かもしれないし、たったの数秒かもしれない。
時間の間隔が分からなくなるほど俺は混乱していた。
こいしが、犯人?
あの姉ちゃん思いのやつが、などとは微塵も思わない。今だってそうだ。
「く、そ……」
つい地面を殴る。切れたのか血が滲む。
「俺は、また何もすることが出来ないのか……」
昔の出来事がチラついた。
それを忘れたいが為にまた地面を殴る。
何度も、何度も。
「クソッたれがァああああああああ!!」
俺は今イラついている。
何も出来ないことに。そして、なにもしようとしない自分に。
俺は、また何も出来ないのか——
気がつけば辺りの音が静かになった。
もう終わったのか。タイム達が終わらせたのかはたまた逆か。
しかしもうどうでもいい。
結局は何もしなかったのだ。
そこらで大の字になって寝転がる。
殴りつけた拳が痛い。手の皮が剥けている。
しかしそれもどうでもいい。
もう、なにもやる気は起きなかった。
その時現れたのが、緑色の目をした少女だった。
「……なんだ」
「貴方がおじさんね。まったく、こんなところで油を売っているのが妬ましいわ」
「油を売る、ねぇ……。今は休業中だ」
「そして冗談を冗談で返すとか妬ましい。しかし妬ましい問題があるから答えなさいな」
「問題?」
「ええ。では第一問。この主犯は誰でしょう」
いきなりなんだというんだコイツは?
急に来たと思えば意味不明な問題を出してきて……
しかし断る理由もないので答えておいた。
「……確か、こいしだろ。勇儀って奴が言ってたが」
「正解。まあこれは簡単だったかしらね。では第二問。今この幻想郷に起きている異変を二つ答えなさい」
「なにやら訳の分からない連中と、あとこんな感じの異変。それがどうかしたのか?」
「正解。では第三問。この事件はその訳の分からない連中が起こしたものとしたらどうでしょう?」
「……なんだって?」
「そのままの意味よ」
アイツらと、この事件が関係あるってことか?
「正解はこの二つは密接に繋がっている。理由は?」
「……知らねぇ。ただの嫌がらせか?」
「その答えは半分ぐらい正解ね、妬ましい。本当はアレはこの幻想郷の支配が目的なの」
「……そういえばそんな話を聞いたことあるな……」
「なんだ、知ってるの? ならいいなさいよ妬ましい」
俺はいまこの少女から聞いたことを吟味する。
端的に言えば、異変を起こして幻想郷を手に入れようぜってことになる。
しかし、何故?
タイムから聞くところによると、組織の連中はかなりの強者らしい。
なら、わざわざこんなことをしなくてもいいのではないか?
「なら第四問。彼らは何故このようなことを起こすでしょうか?」
「確かになんか回りくどいな……幻想郷側の消耗を見るためか?」
「それも一つの回答ね。まあ詳しくは私も知らないけど。妬ましい」
「…………」
もしそうなら、この事件は組織側の介入になる。
しかしタイムは『これは組織の仕業ではない』と断言していた。
タイムが組織を抜けたとはいえ、こんなにも早く作戦が決定するものなのか?
しかも、占領限界地域は『霧の湖』までのはず。
なら、どうやってここまで来れたのか——
「……まさか、紫……?!」
思わず口に出していた。
タイムは言っていた。『この能力は他人のもの』だと。
なら、紫の能力を奪われていてもおかしくはない。
紫の能力を使い、ここに別の能力者を送ってこいしに接触。
こいしを洗脳させて異変を起こす——つまりはこういうことだ。
「……だいぶ分かってきたみたね。なら貴方にはすることがあるんじゃないの?」
「……そうだな。俺にはやることがある。むしろありすぎる」
俺は誓ったのだ。
困った奴は助ける。
それをぶち壊してどうするんだ。
「待ってろさとり……今行ってやる。必ず助けてやる」
俺は、走りだした。
何処へ行けばいいのか分からない。
でも、それでも、俺は走らずにはいられなかった。
一刻もはやく、さとりに会わなければ。
俺はまだ約束を守れていない。
『俺はどこにも行かないし隠れもしない』
その約束を果たすために。
お久しぶり&この時間にこんばんは。
次回予告!
さとりとの約束を果たすべくおじさんは再び立ち上がる!
しかし果てしない広大な土地はおじさんの進行を邪魔していた!
果たしておじさんは無事さとりの元へ行くことが出来るのか!?
そしておじさんに立ちはだかる人物の正体とは!?
次回! 第四十九話『約束を果たすために』! 乞うご期待!!
一回こういう次回予告をやってみたかった。反省はしていない。
というわけで今回第四十八話ですよ。
緑目の少女の言葉(?)により目が覚めたおじさん。この事件が『組織』によるものだと確信しました。
(色々な意味で)満身創痍のおじさんは果たしてさとりの元へ行けるのか。
約束を果たすことは出来るのか。
そんなそんな感じで終わらせていただきます。
あ、そうそう。最後の『』の言葉は第三十八話参照。
それではー。