二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】 ( No.191 )
日時: 2010/03/26 14:04
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: YWR4Zzw2)
参照: http://id45.fm-p.jp/347/yuu0626/

【第二十八訓:晴レ雨】



三月、気持ちのよい快晴が広がる空。
あたしは大好きだ。

というわけで、いつもの何倍も機嫌がいいあたしは鼻歌を歌いながら屯所の廊下をスキップしていた。
そこ、変人って思ったでしょっ!?
・・・しょうがないから、許してあげないこともないぞっ!!

「近藤さーん、巡回行って来まーすっっ!!」

近藤さんの部屋に顔を出してから、また廊下を歩く。
そして屯所を出た。

今日は誰かと一緒じゃないし、駄菓子屋とか行っても分からないかなー。
最近発売したバニラアイスに土方さんがマヨネーズかけてるの見て、あたしもやりたくなったのよ。
あ、もちろん七味だから。

「あ、おばちゃーん。このアイスちょーだいっ」

あたしがアイスを指差すと、おばちゃんはあたしに手渡す。
あたしは、ありがとっ、と言って駄菓子屋を後に———しようとした。

「雨か・・・」

綺麗な青空はそのままだったが、冷たい雨が地面をたたいて水溜りを作っていた。
いわゆる“お天気雨”というやつだ。
屯所に帰ろうかとも思ったけど、結構降っていて、びしょぬれになるのは間違いなかった。

「雨宿りするか———・・・」

あたしはお尻を浮かせて膝を抱えた姿勢で座った。
駄菓子屋の屋根は幅が狭く、髪から雫が落ちる。
体の震えが止まらず、くしゃみが出てしまう。

「寒・・・っ」

あたしは自分の肩を抱いた。
すると、視界が暗くなった。あたしの髪から雫の落ちるまでの時間の間隔が長くなる。
あたしは上を見上げた。

「隊長、こんなところで雨に打たれてると風邪引いちゃいますよ?」

そこには傘を持って、柔らかに微笑んだザキの顔があった。

「隊長が傘持たずに出て行ったって聞いて・・・隊長ならここらへんでサボってると思って、来ちゃいました」

そう言って笑うザキは可愛くて。
この雨さえも晴らしてしまえるような気がした。
あたしは立ち上がって、傘の下に入る。
だが、ザキにちょっと待ってて、と告げると駄菓子屋へ戻った。
そして再びザキの元へ戻るとザキにたった今買ってきたばかりのバニラアイスを手渡した。


「・・・あ、ありがと」


「隊長、雨の中で食べたら寒いですよ」

ザキは笑いながら言った。
それからあたしたちは、屯所までの道をアイス片手に歩いた。