二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】 ( No.239 )
日時: 2010/03/29 18:36
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: 7MCr7M6.)
参照: http://id45.fm-p.jp/data/347/yuu0626/pri/48.jpg

【第三十二訓:その隊員、死神につき】


「いい加減出てきなよ、蒼城さん———・・・いや、この気配は」





「姫愛———・・・かな?」

風が橙色の髪を揺らす。

「———正解だが、」

すると、今まで誰も居なかった木の上から影が飛び降りた。

「一度外すとは———裄、死神の勘が鈍ったか?」

裄の目の前に現れたのは、漆黒の髪を風に靡かせる少女、姫愛だった。

「・・・そうかもね。もう僕には死神として生きるつもりは無いしさ。・・・だから、」

裄はあの金属を取り出す。

「こんなのもいらないよな?」

裄は思いっきり力を入れ、金属を二つに折った。
そして足で踏みつける。

「それが無いと困るのだが。私が蒼城に怒られる」

そして姫愛は無表情ながら、フッと笑った。
風がやけに冷たい。

「———・・・なァ、蒼城よ」

「・・・!!」

————————————————————————

あれからあたしも屯所へと戻ったのだが、雪の姿は見当たらなかった。
おかしいな・・・靴も無いしさ。
あたしは屯所の電話の受話器をとった。
二、三回コール音が鳴ってから繋がる。

「・・・あ、裄?ちょっと今どこに居るわけ?」

———返ってきたその声は新たな事件の始まりを告げる鐘となる———

「———屯所から南の方角の道路です。詳しい場所は分かりませんが・・・ば、爆破事件の犯人・・・確保しました」

「よくやったじゃん、裄!お手柄だよっ!」

早く帰ってきなよ?、そういうつもりだった。





「た、隊長・・・っ・・・すみません、僕・・・帰れそうに無いです・・・」

その振り絞るような声の後に消え入るように続けられた言葉———。

「———そ・・・そんな事ないからっ!裄は渡さないから、安心して!」


“———隊長、僕・・・また死神として生きないとダメみたいです・・・”


裄は人間として生きるって決めたんだ———。


“———昔の仲間に追われてるんです・・・”

誰にも邪魔させない———。