二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】 ( No.313 )
日時: 2010/04/04 22:28
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: u/FYQltH)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

【第四十訓:その男、“自称”姫の王子につき】



そういえば説明するの忘れてたけど、この勝負の制限時間は2時間。
すでに開始されてから10分が経過していた。
散らばったのは良いけど、吉原の町なんてわかんねぇっつーの!
ちょっとあっちに有利すぎるじゃん、絶対。
こんな状態で敵にでも鉢合わせなんてしちゃったら、あたし終わりじゃん。

「だから俺がいるんじゃねぇか」

当然のようにあたしの隣に居るのは、晋助

「(ド変態テロリスト)。」

「途中から心の声だだ漏れだっつの!」

っていうか付いて来てなんて言ってないから。
そういうのストーカーって言うんだぞ。
・・・最近の近藤さんを見てると嫌でも学習できるさ。

「オイ、晋助。あたしも姉御みたいに一発かましたろうか!!」

あたしが言うと晋助は喉を鳴らすように笑う。
・・・な、何だよ。腹立つなぁ。

「いいぜ、別に。なんと言われようが俺はお前の王子だからなァ。護るのが当たり前だろ?」

王子って・・・“自称”じゃんかよ。
自称王子に護られる筋合いなんてねーよ。

「そういえば敵の大将って誰なんだろ・・・?」

あたしはこれ以上この話をしてても特に意味が無いな、と思い話を変える。

「アレじゃねぇか?あの、蒼城とかいう・・・」

まぁ、フツーに考えればそうなるよな・・・。
あの巽って子はまず無いと思うんだよね。
年齢的にも、性格的にも考えるとさ。
で、その付き添いみたいなアビって人も無いかなぁ〜・・・。
なんかリーダー気質では無い感じがした。
なんて言うんだろう・・・一生補佐官どまりタイプ、みたいな?

「・・・さっきから黙って聞いてりゃ、ペラペラペラペラ・・・」

その声の直後に、あたしの真横の地面に刀が突き刺さる。

お前は———・・・

「アビ———・・・っ!!」

あたしの言葉の後に、アビは不敵な笑みを浮かべた。

「———次はそのうるせぇ口をきけなくしてやるよ」

アビの漆黒のコートが風に靡く。
それと同時にアビの刀の銀色の光があたしに振り下ろされた。
あたしは反射的に、固く目を瞑った。

だが、いつまで経っても刀が降りる気配は無い。
代わりに聞こえたのは雨音のような、液体が地面に落ちる音で。
あたしはそっと、目を開ける。

「———・・・!!」

あたしの視界に映ったのは、紅い雨———。
それと———、





「———し、晋助———・・・っっ!!」





あたしを庇うようにして背中から血を流す晋助がいた。

「———言っただろ・・・?姫を護る・・・のが、王子の・・・役目だってよォ・・・っ」

晋助は苦しそうに話す。

・・・苦しいんだったら微笑まないでよ。
痛いんだったら無理しないでよ・・・っ!
何でよ———・・・いつも微笑んだりなんかしないじゃんか・・・。


そんな顔、しないでよ———・・・。


あたしの頬を涙が伝った。

「桃・・・そんな顔、すんなよ———・・・」

晋助はあたしの涙を親指で拭う。

「・・・それはあたしの台詞だっつーの・・・バカ」