二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】第四十八訓UP!! ( No.426 )
- 日時: 2010/04/22 17:06
- 名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: 6i18Tf8q)
【第四十九訓:その二人、師弟につき】
「俺、ぼーっとしてたらアカン言わへんかったっけ?」
そんなあたしの様子を見て、隙を突こうと思ったのかあたしの横を刀が掠める。
「っ!?」
「てめ・・・っ!!いくら狂夜だからって許さねぇぞ!!」
「銀時!お前は引っ込んでろ!俺がやらァ!!」
銀時と晋助が刀を師匠に向かって振りおろした。
ただただ、月が———紅い。
・・・嫌だ、嫌だ、嫌だ、
「嫌——————っ!!」
あたしはどうすればいいのか。
考えるより先に、体が動いていた。
刀と刀がぶつかる音。
殺し合いの中で生きているのに、あたしはこの音が世界で一番嫌いだ。
「く・・・っ!!」
あたしは師匠の前に立って銀時と晋助の刀を受け止めていた。
流石に、男二人を受け止めるのはキツイ。
「・・・桃、そこをどけ。いくらお前の師匠だろうと、もうコイツはあの頃の狂夜じゃねぇ」
銀時が諭すように言った。
「嫌だっ!いいんだ、あの頃の師匠じゃなくても。今がどんなだろうと、あたしの師匠はあの人以外の誰でもないんだから!!」
あたしはそう言って、晋助たちを一睨みした。
強い風と雨が吉原を、あたしたちを濡らしていく。
その時、地面に“あの”金属が落ちた。
「・・・!!」
すると、裄の顔に驚きの色が現れた。
・・・一体あの金属って、何なんだ?
「へぇ・・・僕が壊したヤツ以外にもまだあったのか。びっくりだよ」
裄が皮肉るように笑う。
「なァ、御神。その金属って何なんだ?」
土方さんも疑問に思ったらしく、裄に問うた。
裄はその金属を拾おうとした。
すると、神夜の刀が腰をかがめた裄の首の上で止まる。
「ソレ拾ってもいいけど———俺が君の首、落としちゃったりして♪」
そう言って口元だけに微笑を浮かべる神夜は、さっきとは雰囲気ごと別人のようだった。
だが動じる様子も無く裄は、
「もしかして神夜、僕が死なないって事、忘れちゃった?」
それって不死身って事?
「まぁ、そんな感じです。この事については、先ほどの副長の質問に関係しますので説明しましょう」
そう言って裄は右手の指を二本立て、ピースサインを作った。
「僕達死神には二種類いるんです。本当に死んでから死神になったタイプと、死ぬ前に、この金属により死神にされてしまったタイプとで」
金属で死神に!?
そんな事が可能だったとは・・・。
「僕は前者の方。そして、その二つのタイプの大きな違いは“死”の有無です。僕達、一回死んでいる死神は既に死んでいるので、“死”というものは存在しません。ですが金属によって死神になった者は、一回も死んでいないので“死”が存在します」
死なない死神と、死ぬ死神。
———!!
「もしかして、師匠は裄と同じタイプの死神ですか?」
「正解や」
それなら、攘夷戦争の時に死ななかったのにも説明がつく。
死ななかった、のではなく、死ぬはずが無かった、ということか。
「その金属は数少ない死神を増やす道具として多くの人に使われました。姫愛、アビ、巽もその中に入っています。でも、死んでしまう死神はあまり役には立ちませんでした。意図的に作り出された死神は能力も劣る事が分かったんです。でも、賛否両論で製作が一旦停止したのにも拘らず、少量ですが再び作られるようになったんです」
「それは、どうしてでィ?」
総悟が訊ねると、裄は重い口を開いた。
「———僕が作ってたんです」
「僕は昔から研究とか、製作が好きで・・・でも、そういうものだとは知らずに作ってたんです!蒼城さんは、そんなこと一言も言ってなかったから・・・」
師匠が・・・!?
「いややなぁ、裄。お前かて、めっちゃ乗り気だったやんか」
師匠が妖しい笑みを浮かべた。
「だからそれは———」
「そんなのどうでもいいんだよ、裄。ねぇ、また作ってくれないかな?その金属」
神夜は裄の言葉を途中で遮り、そう告げた。
「———成る程。それが僕を追っていた目的だったってワケか。でも、もう作れないんだよね。製造マシーン破壊しちゃったしさ」
そう言って、裄は悪戯っぽく笑った。