二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】 ( No.588 )
日時: 2010/05/19 21:01
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: 4u1FJvtb)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

【第六十四訓:綺麗過ぎる空ってなんか嫌だ】



———朝。

あまりの頭痛に目が覚めた。
見渡す限り、酒瓶と食べ物の山。
・・・つか、酒くさっ!!!

「はよーございまさァ、桃」

声のほうに視線を移すと、総悟が椅子に座っていた。
珍しくパソコンなんていじっちゃってぇ、何してんのー?

「何か無性に腹が立ちまさァ。・・・ちょっと『四体族』について調べてるんでさァ」

『四体族』って・・・師匠たちが吉原で、次のチームメイトって言ってたヤツらのこと?

「あぁ、そうでィ」

一時だけあたしに合わされた視線は、すぐにパソコンのディスプレイに落とされた。

「何で、今調べてんの?」

そういえば土方さんもザキもいないしさ。
もしかして仕事とか?
いやぁー、真面目ですなぁ。

「仕事って言っちゃ仕事でさァ」

あたしの言葉に対する総悟の言葉は、何か意味深で。
嫌な予感と寒気が背筋を走る。

「———・・・アンタの師匠、ついに動き出しやしたぜィ」

総悟はいつになく真剣な顔で言った。
もう、動き出したんだ・・・。

また師匠と対立することになるのか———・・・。

「・・・で、真選組はどう対処するわけ?」

あたしは出来るだけ暗い表情を隠しながら言った。
総悟は黙って頷いた。
———それは師匠の所に行くっていう事で受け取っていいんだな?

「・・・分かったら行きやすぜィ。土方さんたちが外で待ってまさァ」

あたしはふと、空を見た。

「今日は雲一つない空、ってヤツか。・・・なんか嫌だな」

そして玄関の方に向き直った。

「———・・・なんか物寂しいじゃない」

もう行くのか、と思いながら、あたしと総悟は万事屋を後にした。

万事屋の玄関が閉まった後、彼等は閉じていた瞼を開けた。

「・・・聞いたか?今の話」

「あぁ、狂夜の事だろう?次は四体族・・・と言ったか?」

「狂夜が何かやっとる事はしっちょる。それより、おまんら、四体族を知らんがか?」

辰馬の言葉に桂、銀時はおのおの反応を見せた。

「辰馬、お前・・・知ってんのか?」

辰馬は頷く。

「あぁ、何しろ裏では有名じゃからな」

「裏で有名、と言う事は表で有名にはなれないワケがあるのか」

桂がそう訊ねると、辰馬は床に横たわっていた体を起こして、その場に座った。

「そんな所じゃ」

辰馬はそういうと、真剣な顔になって話し始めた。

「———四体族は“影の戦闘種族”ぜよ。あの戦闘種族、夜兎の何倍もの戦闘力を持っておる。到底人間が適う相手じゃないきに。たとえ攘夷戦争で最強だったとはいえ、あの桃でも敵わんじゃろう。・・・だが四体族は、その強さのあまり同種同士で殺し合い、絶滅の危機に襲われたんじゃ。そこで、当時の四体族の長は、ある事を思いつき、全ての四体族に実行したんじゃ」

話が一通り終わると、銀時と桂もその場に座った。

「その、ある事とは何なんだ?」

銀時が訊く。

「あまりの強さを制御するために、四体族の片腕か片足を斬りおとし、義手か義足にさせたんじゃ。五体満足、というじゃろう?五体とは頭、右手、左手、右足、左足を指す。五体そろってない四体族は五体不満足、すなわち“四体”しか揃ってないきに、四体族というんじゃ。じゃが、四体でも強い事は変わらんかった。裏で殺し合いや暗殺などの仕事を請け負っている事から“影の戦闘種族”と言われておる」

辰馬の返答に、桂と銀時の顔に驚きの色が現れた。
そして、話が全て終わったのか、辰馬はおもむろに立ち上がった。

「・・・という事じゃきに、わしは桃たちのところに助太刀に行ってくるぜよ」

辰馬が玄関の方へ行くのを、後ろから銀時と桂も続く。
振り向く辰馬に、銀時は、

「テメーにばっかり、いい格好はさせねーよ?それで桃がテメーに惚れちまったら困るだろうが。っつーことで俺も行く。ヅラ、テメーは大人しくお留守番でもしてろ」

と、イタズラっぽく笑った。
するとヅ・・・桂も

「ヅラじゃない桂だ。全く、ナレーションが言うとはどういう事だ!」

あ、すんませんしたぁー。
じゃあ仕切りなおして・・・
すると、ヅラも

「ちょっと待て!何でそっちで言い直すんだ!」

あ、すんませんしたぁー。
いやーかつらってかんじへんかんがめんどうなんで。

「本当に面倒くさそうだな!後半が読みづらくて仕方ないわ!」

はいはい。今度は真面目にやりますよ。
すると桂もフッと笑って、

「フン、誰が留守番などするか。俺も行くぞ。お前らだけでは心配だからな」

と言って、3人は玄関を出た。


今から斬りに出かけるのに、嫌に空が綺麗だった。