二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】 ( No.600 )
日時: 2010/05/21 18:00
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: udZFMs3r)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

【第六十五訓:歩きタバコはやめましょう】



その女はかぶき町の町を歩いていた。
綺麗な装飾の煙管を包帯の巻かれた右手に持って、紫煙を吐いた。
金色の髪に、長い睫毛で縁取られたエメラルドの瞳は、彼女の整った顔立ちを更に引き立たせる。
それは、まさに百合のようで———・・・。

「ねーねー、ちょっとそこのねーちゃん」

・・・どれだけねーねー言ってるんだ。
彼女はそう思ったが口にはしなかった。

「ちょっと俺達と遊ばないー?」

ぶっちゃけウザいのだが。
彼女はそう思ったが口にはしなかった。

「ホラホラ、行こーよー」

「し・・・」

死ね。
彼女はそう思ったが口にしなかった。


・・・というモノローグを入れようと思っていたのだったが、少し言ってしまったのでモノローグを入れる予定が狂ってしまって、少し焦ってしまったのは秘密だ。

「・・・しろ」

彼女の声を、声をかけてきた男は聞き取れなかったのか、もう一度言ってもらうよう聞き返した。
そして、彼女の腕を掴んだ。
その瞬間、彼女の表情が変わった。

「———・・・いい加減にしろと言っているんだ!!」

彼女は掴まれていない方の腕で、腰に差した刀に手をやると一瞬で引き抜いた。
その刹那、男の腕が地面に嫌な音を立てて落ちた。

「う・・・うわァァァ!!」

その場が一斉にざわめき出す。
男の叫び声にに彼女は初めて、男の顔を見た。
そして、吐き捨てるように、

「・・・なんだ、アイツでは無かったのか」

冷酷に言うのだった。




「うっわー・・・派手にやっちゃってますぜィ。ナンパして片腕失うたァ、男もさぞかしついてないですねィ」

あたし達はかぶき町を歩いていた。
そこで一連の事を見ていた。
男が綺麗な女の人をナンパし始めたなー、とか思ってたら、次の瞬間には腕落ちてんだもん。いやぁ、女って恐いねー。

「土萌さん、アンタも女だから。バカじゃないの」

そう言ったのは、あたしの後ろを歩いている奏だ。
確かにそうだよな。
大丈夫、最後の発言に傷ついたりとかしてないから・・・。
———・・・あ。

「どうしたんだ?」

土方さんが、訊いた。

よく考えたら、廃刀令のご時勢だぞ?
あんな見るからに一般人が、人の腕落とせるような刀持ってるのっておかしくない?

「確かに。ちょっと俺、とってきまさァ」

あ、あたしも!
っつーことで、

「ねぇねぇ、ちょっとそこのねぇちゃん」

「俺達とちょっと来てくだせ・・・」

総悟がそこまで言った瞬間、あたし達の目の前を刀の切っ先が掠った。
あ、あぶねー・・・。

「『ねー』の言い方がさっきの男とは違うから、お前らはさっきの奴らとは違うな」

文見えてないのに、わかんのかよ。

「だが、ウザイ事に変わりは無いな」

そして、何秒かの間を空けてから、

「死んでからせいぜい反省する事だな、七桜———!!」

あたしの脇腹めがけて刀が突き出された。
ぎりぎりのところで避けたけど、結構危なかったな。

「危ないだろうが!と、とりあえず、今廃刀令中だから刀よこしな」

とりあえす、あたしは言った。