二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】桃最大の秘密が遂に!? ( No.659 )
日時: 2010/06/04 09:28
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: zXyKVICa)
参照: http://id27.fm-p.jp/227/yuu0812/

【第七十八訓:地に咲く紅い桜を濡らすは 心に降る雨の如く】



「そりゃあ、ありがたいなぁ。桃も一緒に地獄旅行、連れてってあげるよ」

七桜は刀を握る。

「それは悪いなぁ。でも、」

あたしも刀を握る。

「地獄旅行に行くんはアンタだけで十分やさかい、死んでくれへん?」

あたしたちの刀は、同時にお互いの腕へと加速していく。

そして皮膚に数センチの切込みが入ったところで止まる。

「「———・・・どうした?」」

二人同時に声を発した。

「「斬らないの?」」

あたしも七桜も、それ以上斬ろうとしない。
斬ってしまえば、この戦いは終わる。
でも、

「あたしにはできへんよ・・・」

あたしは手から、フッと力を抜く。
その刹那、七桜の手に力が入った。

「・・・そういう、桃の甘いところが俺は嫌いなんだよ!!」

そして、一回刀を抜くと素早く斬りかかった。
あたしは右手を左手に伸ばし刺青を剥がした。

「・・・なっ!!」

七桜の驚く顔が面白くて、つい笑ってしまう。
そして剥がした刺青を七桜の顔の前でヒラヒラさせながら、




     フェイク
「———偽物♪」

右腕の袖を引きちぎった。

「・・・あれ?隊長の右腕・・・左腕と同じものが!!」

いやぁ、タトゥーシールって便利やね。
本物は右腕なのになぁ、そんなに本物そっくりなんかな。
おかげで命拾いしたわ。
あー・・・腕痛ェ・・・。

「ほな、次はあたしのターンやね」

さっきから降り始めた雨が、あたし達を濡らす。
あたしは地面に落ちた刀を握って七桜に向かって振り下ろした。

「・・・桃、甘い考えは捨てろっていったじゃんか」

七桜はあたしの刀の切っ先に視線を落とした。
あたしが斬ったのは、右足。
・・・やっぱり、無理やった。

「・・・桃、」

七桜はあたしの手から刀を奪った。
あたしは恐怖で押しつぶされそうになる。

「今、桃が足に切り込みいれる程度じゃなくて、右腕斬ってたら俺危なかったじゃんな」

七桜はさっきまでとは違う笑い方をした。
柔らかくて、儚げで、

そして———、

「妹に情けかけられて生きるんだったら、俺」



消えてしまいそうで。




「死ぬわ」

七桜はそう言うと自分の右腕に刀を当てた。
じわじわと血が滲む。

「い、嫌・・・七桜っ!!」

地面は紅く染め上がった。





「———七桜ォォォォ!!」



まるで頬を伝う涙は、雨のようで。
彼女を冷たい雨と紅い桜が包んだ。