二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】アンケート実施中! ( No.874 )
- 日時: 2010/09/10 23:08
- 名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: pkkudMAq)
- 参照: http://id23.fm-p.jp/106/tomoemomo/
【第百訓後編:最終回だからこそシリアルに】
・・・こうなったら最終手段だ!
「あ、あたし・・・実は・・・」
あたしの言葉に総悟と晋助は注目する。
「———ザキの事が好きなんだ」
その瞬間、晋助と総悟は銀時の横のヅラの横の土方さんの横にうずくまった。
ったく、冗談だっつの。バカじゃん。
これで流れは守ったけど・・・どうやって収拾つけよう。
あたしは色々と考えを巡らせる。
・・・あ、あれ言ってなかったわ。
「そういえば、あたし故郷に帰るんで引っ越し祝いくれ」
あたしの発言に銀時たちはポカンとした表情であたしを見つめる。
いや、だから故郷に帰るんで引っ越し祝いくれ、って。
暫くの沈黙の後、土方さんが口を開いた。
「故郷に帰んのか?最後に土方スペシャル食っていけよ」
だから帰るって言ってるじゃんかよ。あとその犬の飯はいらないから。
再びうずくまった土方さんを横目に総悟があたしに詰め寄る。
「だったらせっかく最終回なんだし、ハーレムに決着つけようぜィ」
意味分かんないし、顔近いんだけど。
「故郷に帰る前に俺たちの中から一人選んで下せェ。もう百訓ですぜィ?もうそろそろ決着付いてもいいんじゃないですかィ?」
な、嫌だっつーの!!
あたしは別に、誰を選ぶとかそういうのはないっつってんだろうが。
あ、そうだ!そういうのは2でやるんじゃないのか?今やっちゃってもさぁ。
「2でもそう言って誤魔化すんだろ?」
銀時が痛いところをつく。
だって、そう簡単に決められるものじゃないだろ?
皆の事は何だかんだ言っても嫌いじゃないよ。
でも、誰が好きだとか・・・分かんない。
あたしは俯く。
「———なら、今すぐ決めなくてもいいんではないか?」
ヅラはそう言ってあたしの頭にポンと手を乗せた。
「俺は桃が誰が好きだろうと、そのままの桃が好きだぞ」
ヅラの優しさに触れてわかった。
———・・・あたし、ここを離れるのが寂しい。
「・・・あたし、ここを離れるのが寂しい。ホントは皆とずっと一緒にいたい」
でも、もう行かなくちゃな。
あたしはそう言って、荷物を持った。
そんなあたしの腕を銀時が掴む。
「・・・何」
あたしはチラッとだけ見てから目を逸らす。
「駅まで送ってってやるよ」
そう言うと銀時は微笑んだ。
「お前にだけいいトコは持ってかせないぜ」
対抗心むき出しの晋助はあたしの荷物を持って駅の方へ歩き出した。
———駅。
遂に着いてしまった。
これから暫くここには来れないのか・・・寂しくなるな。
そんな事をぼんやり考えていると、ふと思い出した。
・・・あ!あたし、ちょっと固形シリアル買って来るから、ちょっと待ってて!
「最終回でシリアスかよ」
土方さんが呆れたように言った。
文句があるなら作者に言いなよ。あたしだって食いたいわけじゃないんだから。
「主人公だからな」
ホンット、主人公だからって嫌いなのにシリアル食べさせられるあたしの気持ちも考えろっつーの。
・・・って事で、買ってくるわ。
「オラ、桃。いつまで荷物持たせてんだよ!」
あたしが戻ってくると、晋助はそういって駅のホームの柱にもたれかかった。
・・・何だよ、何だかんだ言って持ってるじゃん。
「う、うっせぇな!!」
そういって晋助はあたしから顔を背けた。
「・・・桃、もうそろそろ時間ではないか?」
ヅラが時計を見て言う。
そうだな・・・。
「———時間ってこんなに経つの、早かったっけ・・・?」
その瞬間、今まで我慢してた涙が頬を伝う。
嫌だ。行きたくない。電車なんて永遠に来なければいいのに。
———・・・そしたら皆とずっと一緒にいられるのに。
そんな想いとは裏腹に電車はホームに着く。
もう、時間か・・・。本当に時間がたつのが早いな。
「それじゃ、行くね」
あたしは精一杯の笑顔を作って言った。
「桃、早く帰って来いよ。お前が居ないと黒蝶隊の奴らの統率が取れないからな」
土方さんが嫌味っぽく言う。
最後ぐらいちゃんと言ってよ。だから扱いもひどいんだっつーの。
あたしは小さく呟いた。
「俺もガッキーも待っているぞ。だから早く帰って来いよ」
ヅラはそう言って笑った。
「俺も一応待っててやる。お前が来ないと神楽たちも暇だろうしな」
銀時も照れくさそうに笑いながら、あたしの頭をポンッと軽く叩いた。
やめろよ、こっちまで照れるだろがっ!
「桃、これ。電車降りるときに荷物忘れんなよ。お前は昔から忘れっぽいからなァ」
晋助は荷物をあたしに手渡した。
う、うっさいな!黙れ、バカっ!
晋助はあたしの言葉にムッとした。
「桃、帰ってくるまで待っててやりまさァ。ありがたく思ってくだせェよ」
総悟はニッと悪戯っぽく笑った。
皆・・・あ、ありがと・・・。
あたしがやっとその一言を搾り出したとき、発車一分前のアナウンスが鳴った。
あたしは電車の入り口の前に立つ。
最後に一言言おうと思って、振り向こうとしたその時、あたしは腕を後ろに引っ張られた。
そして引っ張られた反動で見上げた顔の上にあったのは、覆いかぶさるように下を向いた総悟の顔。
———その刹那、一瞬だけ唇と唇が重なる。
「な・・・っ!?」
予想外の展開に顔が赤くなる。
そんなあたしを総悟は電車のに追いやって、
「次会う時まで覚悟しといて下せェよ?」
不敵な笑みと意味深な発言をするのだった。
ドアが閉まって走り出した電車の車窓からは総悟がフルボッコにされている様子が見えた。
「・・・バカじゃん」
あたしは売店で買ったシリアルを一口頬張って、クスッと笑った。
「・・・まずっ!!」