二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 好きだなんて言ってないからっ!【銀魂】 ( No.96 )
- 日時: 2010/03/17 21:53
- 名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: 2GxelfGo)
- 参照: http://id45.fm-p.jp/347/yuu0626/
【第十五訓:それとも、】
「好きだ——————・・・桃」
予想もつかなかったその言葉に、間が空く。
あたしは言葉を選ぶように口を開いた。
「・・・晋助、あたし——————」
その時、部屋の障子が開いた。
「桃っっ!!土方さん、桃がいやした!!」
見ると、総悟と土方さん。それに黒蝶隊の面々・・・。
「・・・ん?総悟と土方さんは分かるけど、アンタ達なんでいんの?」
「ひどいですよぉ、隊長。心配になったんで僕がみんなに助けに行こうっていったんですぅ」
「・・・隊長。嘘だから」
わかってるよ、彩加。いっつも音耶はこんな感じだしさ。慣れてるっつ−の。
「あれ?隊長の横に居る人見たことありますね・・・」
や、やべ、気づかれた!?
・・・ゆ、裄!気のせいだよ!きっと!つか絶対っ!!
「———高杉晋助、だろ?」
土方さんは、晋助を見ていった。
やっぱり気づかれるよな・・・フツー。
「———よォ、真選組」
晋助は口元に笑みを浮かべた。
その笑顔を睨んだ土方さんの目が、次はあたしに向けられる。
「———・・・桃、何で捕まえなかった?」
「・・・・・・」
土方さんの低い声で問われると不思議と声が出なかった。
何でって・・・手錠のせいじゃない。
———じゃあ、手錠がなかったら・・・あたしは晋助を捕まえられてたんだろうか———・・・?
「そうか、手錠かけられてたんだな。これじゃあ無理だ」
そういって土方さんはあたしの手首の手錠を外した。
そして、晋助に手錠をかける。
「あ・・・っ」
思わず声が出てしまった。
総悟があたしを見る。
「どうしたんでィ、桃」
いや、別に・・・。
「———そういえば、ししょ・・・銀髪の長身の男見なかった?」
あの後から師匠を一回も見ていない。
あたしはまた師匠を失う事になるのだろうか・・・。
———そんなの嫌だ。
「いや、そんな男見てやせんぜィ」
「そう———良かった・・・」
「“良かった”?桃、さっきから言動がおかしいぞ。・・・一体、何を隠してる」
あたしの思わず漏らした言葉に反応した土方さんは言った。
その鋭い眼光は、まるで自分が拷問を受けている攘夷浪士のような錯覚を起こさせる。
・・・まぁ、元攘夷浪士なのには代わりはないのだけれども。
「・・・し、晋助を捕まえるのは止めて」
「と、土萌・・・何を言っておるのじゃっ!!」
あたしは精一杯振り絞った声で言った。
それを止める月陰の声も遠くに聞こえた。
「晋助を・・・捕まえるのは止めてほしいと言っている。あと、師匠も」
あたしが言うと、黒蝶隊全員が驚きの表情を見せた。
「師匠って・・・あの日狂夜さんは———!!」
「黙ってろ、御神。今はそんな話をしてねェ。・・・桃、隠してる事全部言え。いわねぇってんなら、高杉とその師匠とやらも俺達がしょっぴくぜ?」
あたしが言えば、晋助も師匠も救えるかもしれない。
でも、あたしはどうなるんだろう・・・。
・・・もう、真選組には戻れないのは確かだな。
だったら、言おう・・・!
昔の同士を救うためなら、いくらでも罪を被っても大丈夫———・・・!!
「———あたしは・・・元鬼兵隊。昔は晋助や銀時、あたしの師匠たちと攘夷戦争に参加していた。晋助と銀時とヅラとは幼馴染で、小さい頃からずっと一緒だった。・・・だから、幼馴染の一人が・・・初恋の相手が・・・自分の手で捕まるなんて耐えられなかった。本当は、近藤さんに聞いた時に行きたくないと思った。でも仕事だから仕方ないと思って、どうにかして割り切ろうと思って・・・ここまで来たのに・・・っ・・・ダメだった。あたし・・・やっぱりダメだなぁ・・・。土方さん、総悟———ごめんなさい・・・」
あたしの目には涙が浮かんでいた。
「ごめん・・・土方さん、総悟、あたし——————」
「——————晋助が・・・好き」