二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 。+°雨音 A/M/A/O/T/O°+。{REBORN!} ( No.212 )
- 日時: 2010/05/30 19:22
- 名前: 雨宮メグ ◆hjAE94JkIU (ID: nS8l1UZI)
22@幼なじみ。それ以上…
私はリビングを出た足で自分の部屋——空き部屋へと向かった。
頭の中は獄寺に対する苛立ちで埋め尽くされている。
——どうしてあんなことを言うの?
——そんなに嫌われたいの?
そんなことばかり考えていた。
空き部屋のドアを閉めると、自然に涙が頬を伝う。
「…さっそく…泣いてるし…」
独り言を呟いてからも、涙は止まることなく量を増していく。
「…っ……」
こんな気持ちを紛らわすためにベランダに続く窓に手をかけた。
窓を開けると心地よい風が入り込み、レースのカーテンを揺らしている。
「……」
ふと隣を見ると、恭の部屋の明かりが見えた。
…まだ起きてるよね…?
ここで十分間くらい時間をつぶしても良かったんだけど、なんとなく恭の顔が見たくなってしまう。
…恭……。
私はベランダを駆け出した。
——すぐ隣にある恭の部屋の前まで来て、ノックしようと左手を出す。
…恭。
少しためらいがちになりながらも、木目調のドアを小さくノックする。
『……』
何の返事もない。
再びノック。
『……』
それでも返事はない。
「恭?もう…寝ちゃった…?」
『……』
…会いたい…そう言ったら恭は困る?
あきらめきれなかった私は、
「入るよ」
そう呟いてからドアノブに手をかけた。
—相変わらず変わっていない部屋。
シンプルで、物が少ない。
まぁ、そこが恭らしいんだけどね…。
ベットの方に目を向けると、本を開いたままうつむいている恭がいた。
「…寝ちゃってるか。」
私は悲しいような少しホッとしたような気持ちを胸に、部屋を出ようとした。
恭に背を向けると、後ろでかすかな物音が。
———パラパラ…
振り向くと、窓から入ってくる風で本のページがめくれていた。
「このままだと風邪引いちゃうよね…」
私はそばにあったタオルケットを恭にかけようとした。
恭に私の手が触れた。そのとき—
「ねぇ、何で獄寺隼人なの?」
「き、恭!!」
恭は、触れた私の手をしっかりと掴んでいた。
「どうして?亜希」
「全部…聞いてたの?」
「…ずっと起きてた。ベランダからつぶやく声が聞こえたから」
「え…」
恭は…私が泣いてるのを、なんで泣いているのかを、
…わかってくれてたんだ……
獄寺があんなことするんだったら…
私は…
思っていたことを口に出そうと、口を開きかけたら—
「亜希は泣いてる顔もまあまあいいけど…」
そう言いかけながら私を壁へと追い込んでいる。
私は迫りくる恭から逃げるように後ずさりをする。
壁が私の背中に触れたとき…
「亜希は笑っていたほうがいいから」
そう言いながら、あの時と同じ不敵な笑みを浮かべ———
私にキスをした。
そのキスはとっても甘く
ほろ苦い
恋の味がした。