二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBOREN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.4 )
日時: 2010/03/17 19:15
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: I69Bg0jY)

◎ #01  アイム・マリオネット   


今日も私は、アジト内の見回りをしていた。


朝早く起きて壮大な建物の中を隈なく捜査するのは私の日課になっていて、面倒臭いと思った時だって体が勝手に動いてしまうのだから仕方が無いだろう。

ところで私の本職はというとマフィアである。

日本で言えば殺し屋達の秘密結社的なモノ。

私が所属するミルフィオーレファミリーは、ジッリョネロファミリーとジェッソファミリーが合併して出来た新興ファミリーだ。

ミルフィオーレの中ではホワイトスペルとブラックスペルに分野が分かれているので、同じファミリー同士でも仲が悪いのはそう珍しい事ではない。

現代のボスは白蘭であり、No.2はユニさんということになっているのだが…私は白蘭の事をボスとして認めていない。

理由は簡単。一言で言えば「嫌いだから」。


彼は10年前に、私の未来を奪った人物なのだ。


———その時の私はまだ幼くて、笑って泣いて、ときに怒って楽しい日々を過ごしていた。

だがある日、私は自分よりも遥かに背が高くていつも笑顔の青年に出くわした。

「やあ、こんにちは」

青年は私と目が合うようにしゃがみ込み、ゆっくりと口を開く。

「こんにちわあ!」

「君、名前は何ていうんだい?」

私は微笑みながら、

「いくだよ。なかついく!!」

私が自分の名を告げると、青年は急に真剣な顔つきになって眉を吊り上げた。

「…!! 君が、中津郁…」

だが彼が疑わしい目つきで見つめていたのはほんの一瞬のようであり、すぐに勝ち誇ったような笑みを溢した。

「そっか♪じゃあ...」

と、青年が私の頭の上に右手を翳した時———。


私の瞳は光を吸収しなくなったかのように闇へと化していき——、

操り人形のように肩をがくりと落とした。

それでも青年は不敵な笑みを浮かべている。

「ふふっ。今日から郁チャンは僕の操り人形マリオネットだね♪」


そう、独特な微笑の持ち主…

     彼こそが白蘭だったのだ———。