二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBOREN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.11 )
日時: 2010/03/20 07:09
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: mwHMOji8)

◎  #03  本来の目的


廊下の突き当たりを左に曲がると目の前にあるのは司令室だった。

ここにいるのは第2ローザ隊隊長・入江正一…

ホワイトスペルと顔を合わせるのは気が進まないが、仕方ない。行くとするか。

”司令室”と書かれた扉をゆっくりとノックする。

——コンコン…

朝早いため、任務に出かけようとしたりして動き回る人たちは少ない。

だからだろうか…ノックの音がやけに響く。

「誰だ…。今僕は忙しいんだ。後にしてくれ」

扉の奥から聞こえる声は確かに入江のものだ。腹を立てている様子である。

「…郁。見回りに来た」

「郁ちゃんかい…?いいよ、入って」

案外簡単に入れてくれるものだな。

私はこれまたゆっくりとドアノブに手をかけ、ゆっくりと足を踏み入れた。

司令室には初めて入った訳ではないが、いつ見ても見慣れない。

入江が目を向けているのは大型のモニターで、そこには先程私が通ってきた廊下や白蘭の部屋の前などの様々な場所が映し出されている。

「やあ。待ってたよ、郁ちゃん」

入江はホワイトスペルの隊服を暑苦しそうに脱ぎ捨て、微笑みながら言った。

「入江…上着はいつも…」

「分かってる、肌身離さずだろう?」

入江は私の言いたかった事をズバリと当て、部屋の奥に置いてあるブツを取り出す。

「はい、これ…。白蘭サンから君にって」

入江が大事そうに持っているのはサザンカとアネモネの花だった。

「………」

私はそれを無言で受け取る。どういう意味かと言えば…「困難に打ち勝て」「期待してる」という事だ。

サザンカとアネモネの花言葉がそれだから。

だが白蘭の言葉はまるで未来を予言しているかのようだ。

まあ、どんなに強い敵が現れようが絶対勝つけど。

だって私が死んだりしたらマフィアになった意味がないじゃない。

「白蘭サンの期待に答えられるように頑張ってね」

「…」

白蘭の期待に答えようとは少しも思わない。

戦いに勝とうと思うのは白蘭のためなんかじゃない、私の自由のため。





本来の目的は白蘭を倒し、操り人形の糸を切ってもらう事だから——。