二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.127 )
日時: 2010/04/07 16:24
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: K2WUjNj1)

◎ #16 —夕暮れの町で→


そんなこんなで着せ替えタイムは陽が暮れるまで続いた。

店の雰囲気も変わってきたところで、ファッションショーが行われた時から地面に放置され続けていた浴衣の入ったお洒落な紙袋の存在に気づいたゆりなは、今日の部はお開きにしようと元気に言った。

今日の部と言ったところで明日もやる訳ではないのだが。

デパートから出た私たちはゆりなを先頭に、アジトへと向かった。

「はあ…少し疲れたな」

肩をすくめながらスパナは独り言を呟く。

「私は全く」

その声が私に問いかけてるようにも聞こえたので返答してみた。

「そりゃあそうだ。まあ、早く感情を取り戻さないとな」

そう言ったスパナの横顔は今までに無い笑みを溢していた。

「………」

幸い今日は人通りがいつもよりかなり増しており、上の命令か何かでスパイ活動を試みているマフィアから私たちの姿を捕える事は困難なものと考えられる。

いくら目立っていようがいなかろうが。

そのくらい人が溢れ返っていると考えて欲しい。

彼らだって黒スーツにサングラスといういかにもマフィアらしい格好で見張っている訳ではないだろう。通行人にでも扮している筈だ。

「なあ、オイラたち勝手にアジト抜け出して…皆怒ってんじゃねーの?」

そんな野猿の言葉にゆりなは歩きながら顔だけ後ろに向ける。

「ドンマイだよ♪なんか理由つけて帰れば問題ないって」

その理由が嘘だという事がバレてしまえば問題大アリだけどね。

「ドンマイで済む訳ねーだろ!!お前はそうかもしれないけど、オイラにはγアニキからのキツイお仕置きが待ってるんだぜ!?それにその理由ってなんだよ」

半分怒って半分涙声という器用な表情を作って野猿は言った。

「んーと…最近マフィアがうじゃうじゃいるって噂あるでしょ。それ」

「はあ?」

「だから、そのマフィアを逆スパイする事にした。でいいじゃん」

「許可なしに?」

野猿の反論の嵐。私とスパナはただ口論合戦を見守る事しか出来なかった。

「………じゃ、じゃあさぁ。いても立ってもいられなくなりましたって事で」

「でも実際逆スパイも何もしてねーだろ?」

「バレて退散してきました」

だんだんゆりなの額に冷や汗が滲み出てきている。

「それこそ怒られるだろ!」

と、そこへスパナが口を挿む。

「もう素直に謝ればいい。自首した方が罪は軽くなるって言うだろ?なあ郁」

「スパナの言う通り。自首する事を勧める」

「やっぱりオイラはγアニキからもお仕置きされなきゃなんねーの?」

野猿は答えは分かり切っているが、という顔で上目遣い。

「恐らく」

「そんなあっ!!」

肩を落としながらため息を吐く野猿。

それを見て困惑の顔を交えて笑うスパナとゆりな。

自分ではいまいち実感出来ないが、私の脳ではちゃんと今この時が楽しいと感じているのかもしれない…な。