二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.129 )
日時: 2010/04/07 17:28
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: K2WUjNj1)

◎ #17 —馬の尻尾で夏祭り!?→


——そして夏祭り当日。

二日前に無断でメローネ基地の外部に出ていた私たちは言うまでもないがこっ酷く叱られた。

野猿もγのお仕置きとやらを渋々受けたそうで、私の元へ帰ってきた時にはあらゆるところに傷を負っていた。今もその傷は残っている。

チラシによると夏祭りが開催されるのは午後六時からで今はその一時間前の五時。

無論、今回も無断でアジトを抜け出す事になっているのだが特に心配はいらない。私の幻覚でもう一人ずつ自分を作るからね。ここで働いてもらうのは幻覚に任せるっていう仕組み。まあ仕組みと称する程ではないけど。

既に幻覚は仕事を始めている。本物の私たちは浴衣を着て髪の毛を結ってかんざしをつけて…と、夏祭りの準備は万端。

すると、自室のドアが勢いよく開けられた。

「ハロー郁チャン!髪の毛結ってあげるよー♪どんな風にする?」

今回の祭りを一番に楽しみにしていたのはこの人、ゆりなだ。

彼女は浴衣を着ておめかしバッチリという態度で私の部屋へ足を踏み入れる。

心なしか今日はゆりなの元気度が異常に高い気がするな。

「何でも構わない」

「そう?じゃあポニーテールにしようか♪クシある?」

嬉しそうに手を差し伸べるゆりな。私はその手の上にクシを置いた。



—— 十分後。

私の長いツインテールは見事にポニーテールになった。

二日前に買ったかんざしを髪の毛に着けて、「出来上がりっ」と叫んだゆりなはその場を立ち上がる。

「うん、可愛い♪流石郁チャンだね」

弾んだ声で言うなり私に頬擦りをした。

「………」

ゆりなは腕時計に目を遣ると、

「まだ早いけど神社行こうか♪この部屋内線繋がる?」

声高らかにそう言った。

「繋がる」

「そう。じゃあ野猿とスパナに電話できる?」

「できる」

「お願いしていいかな?」

「平気」

十秒くらいで会話を済ませ、慣れない後ろ髪を一瞥して電話を取る。因みに最初に電話をするのはスパナだ。

「私。あなたはもう準備できてるよね。もう行くから外出てって…ゆりなが。野猿にも言っといて。…そう。それじゃあ」

私はガチャリと電話を置いてゆりなに目だけで「終わった」と告げる。

「おっし、じゃあ行こう♪」

彼女は初めて出会った日と同じように私の手を掴んで部屋を飛び出して行った。