二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.137 )
- 日時: 2010/04/10 11:50
- 名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: Ga7wPm2O)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?335272
◎ #19 —弦楽器入れの中は本→
「輪廻チャンかぁ!宜しく♪」
「あっ!?と、とりあえず離して!」
嬉しそうにニコニコ笑っているゆりなと苦笑している輪廻。
「ほら、バレるとチェルベッロたちがうるさいでしょ?早く行っちゃおうよ」
何とかゆりなの手から抜けた輪廻はそう言った。
すると彼女は私の視線に気づいたのか手に持っている箱を軽々しく上げ、
「あ、これ?えへへー♪バイオリンケースなの」
「お祭りに行くのにバイオリンなんて持って行くの?へえ、不思議な子だねぇ…」
ゆりなはしげしげと黒いケースを見つめる。
「違うよー!この中は本。あたしね、本読むのが好きなんだ。だからいつでも持ち歩いてるの!」
コンコンと手でバイオリンケースを叩く輪廻。ロックが掛かっているケースの先端に手を置くが、熱い物に触れたかのようにさっとその手を隠し、
「どんな本かは秘密。誰にも教えないよー?」
「そっかー、少し残念」
そしてすっかり友達感覚になった輪廻とゆりなが歩きながら話題を絶やさずに話している中、最後尾を行く私の襟首が何者かに引っ張られた。
「遅いじゃないか。ウチと野猿はあんたらが来るまずっと待ってたんだ」
木の陰に隠れていたように飛び出してきたスパナと野猿は怒っているのか笑っているのか判断がつかない表情で私たちを呼び止める。
彼に言われて空を見上げると、どこまでも続く大空は真っ赤に染まっていた。
「あっ、ごめんね二人共。この子はさっき出会った紫音輪廻チャン♪一緒に行く事になったよ」
スパナは首を傾げる動作をする。
「あんたが輪廻か。正一から時々聞くんだ。銀色の瞳の少女ってな」
「あっ、そうなの?宜しくね。貴方はスパナだったよね。で、貴方は野猿?」
「そう。野猿はオイラの事だぜ」
浴衣姿の野猿とスパナは微笑んだ。
「流石に郁チャン、瞬間移動とかは出来ないよね…。じゃあ歩いて行こうか」
そして私たちはゆりなを先頭に歩き出した。