二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】幻覚花弁。*angraecum*祝絵完成! ( No.158 )
日時: 2010/04/18 08:31
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: RCkZ3Tkz)

◎ #23 —夜空に咲く花→


見るからに山本は花火を打ち上げる係らしい。

これも屋台の人がいない代わりだろうが。

「折角だし花火見ようよ!うーん…そこら辺空いてるよ」

と、輪廻が木陰にあるベンチを指差す。

「おっけー♪そこなら良く見えそうだね」

ゆりなは一番乗りに走ってベンチの端に座った。

だが私は皆が続いて腰を下ろす中、

「私…鳥居の方で見てくる」

と小走りで大きな赤い鳥居の前まで人だかりを掻き分けて行った。



「…山本」

「ん?ああ中津!お前もやってみるか?」

山本は丸い火薬を指差しながら言った。

「………」

渡された火薬を凝視しながら山本を見上げる。

「ははは!平気だって。ほら、ここに火ぃ点けて…」

彼は、まるで私が心配そうに見てたかのように丁寧に教えてくれた。

流石幼馴染…と言うべきだろう。私の視線だけで感情を読み取ってるように思える。

だからといって私自身、特に笑っても泣いてもいないし、ましてや心配だった訳でもないが。

そして私は、山本に言われたように先の白い紐の部分に火を点けた。

ジジジジ…という音を立てながら火が紐を焼いて行く。

「危ない!下がって!!」

山本が私の腕を取って全力で走り出す。

ドーンと凄まじい音がしたかと思うと、空に色とりどりの花が咲いていた。

「ふー、危なかったのな…大丈夫か?」

彼の幼い頃からの口癖が「なのな」だ。そんな山本の言葉が何よりの安定剤だったのを覚えている。

「平気」

そう行った時、誇らしげに夜空に咲いていた花火が儚く散った。