二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.206 )
日時: 2010/05/20 18:35
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: 6IEyNuk1)

◎ #25 —10年ぶり→


そうして10分が経った。

そろそろ山本が帰ってきそうだなと、鳥居を抜けた階段のところまで歩いてみる。

「お待たせっ!お前に昔貸してたグローブがまだ残ってたんだぜ」

そして暫く待っていると、ボールを持った山本が走ってきた。何故かグローブを両手にはめている。

私は彼の持つボロボロなグローブに目を遣った。私が最後に見たときとまったく変わっていない。

「あん時、これが大きすぎるって不満そうにしてただろ?今じゃ丁度いいと思うんだけど」

受け取って手にはめる。サイズは丁度だったが、10年もやっていなかったものだからうまく感覚が掴めない。

「感覚」

一言だけ呟いて山本を見上げると、それだけで理解した彼は微笑んだ。

「なーに。やってるうちに分かってくるって!」

「分かった」

私は深く頷いた。



「んじゃ、始めるぞ」

私と山本は人気の少ない木陰に移動し、少し距離を置いて立つ。

そして大きく振りかぶる山本。

「それっ」

恐らく彼特有だろう。とてつもない早さの速球が飛んできた。

バシィィイイっ!!

最早キャッチボールの領域を超している。

山本が放った球は、私のグローブの中で煙を上げて回転した。

「お、できてるのな!」

「…なんとか」

私も山本にボールを投げる。さっきよりスピードが衰えてるのは、投げた者が私だからだ。

「昔より球が速くなった」

「ははっ!毎日練習してるからなー♪」

バシバシと音を立てながらボールが飛び交う。

と、その時。

「あっ。いたいた!探したんだよ郁チャン♪」

「中々帰って来ないから心配したんだよ?」

向こうの方からゆりなと輪廻の声がした。