二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.245 )
日時: 2010/05/30 14:36
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: HpE/sQXo)

◎ #26 —奇跡、前進→


「散歩」

グローブ片手に言ったって、なんの説得力もない。

「そんなわけないじゃんっ。明らかに”さっきまでキャッチボールしてました”って感じだよー?」

文だけ見ると怒っているように思えるが、顔は笑顔のゆりな。

「………散歩、のようなもの」

「まあいいけどね。……あれ?あの人、郁の友達?」

輪廻は視線を山本に向け、私に耳打ちをする。

「幼馴染み。幼稚園からの」

私も山本に目を動かすと、彼はにっこり微笑んだ。

「ういっす!俺は山本武。宜しくな」

「おお…爽やか系男子だね…宜しく」

輪廻には山本から光り輝くオーラが見えたのか、眩しそうに言う。

「山本君かぁ…宜しくね!」

続いてゆりな。野猿とスパナもとりあえずお辞儀はした。そして、

「なんだよ、オイラ郁アネキの彼氏かと思ったぜ」

「ウチも」

場が一気に静まり返る。皆が硬直する中、彼だけは笑顔できっぱりと否定した。

「んなわけねーって!ただの幼馴染だよ」

山本は私の肩をパンパンと叩くが、その行動がいかにもつき合ってます的な雰囲気を醸し出しているのに気づかない様子だ。

でも実際、本当にただの幼馴染みである。

「ふーん、まあいいんだけどな。それよりさ、オイラ今度食べ歩きしたい!」

今日二度目の注文をした野猿は、数々の屋台に目を輝かせた。

「じゃあみんなで分担して、いろんな屋台から人数分の食べ物買ってこようよ!あたしたこ焼きね」

「じゃあ私は焼そば♪」

「オイラ…お好み焼き」

「ウチはデザートにかき氷」

「そんなに食べれるの?」





今、何か違和感を感じた。

生きていてずっと忘れていた事を思い出したような気分がして——

「あれ?郁アネキ!?」

野猿は驚きと嬉しさが入り混じったような表情を見せる。

「?」

「い、今…皆に向かって聞いたよな!な!!」

「それが何だ?」

私にとって、すっかり代理役が執着したスパナが言いたい事を言ってくれた。

「だから…”食べれるの?”って!感情が無かった郁アネキが、疑問符つけて喋ったんだぜ!?」

そういえば、その通りだ——。