二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.254 )
- 日時: 2010/07/07 17:04
- 名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: otheHgZZ)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?347496
◎ #27 —音に紛れた二文字→
「え!?どういう事?」
事情を詳しく話していないゆりなと輪廻に山本は、三人共困惑気味の顔で目を丸くした。
「そうか…あんたらには話してなかったな。実は…」
「待って」
腕を組み、話し出そうとするスパナの言葉が途切れる。
「私が話すから」
と、私は三人に全てを話した。スパナや野猿の時と同じようにして。
実際話し終わるまでに掛かった時間は三十分近くだが、この際関係無い話である。
「そうなのなー…道理で違和感を感じたわけだ」
「で、でも!それが今、少し治まった…ていうか、”疑問”という感情を取り戻したという事でしょ?一歩前進じゃん」
ゆりなの掛け声が元気をくれたのか、伏せていた顔を上げる野猿。
「そうなんだよ!良かったじゃん郁アネキ!!」
………コクリ。
首を振った。肯定の意味だ。
「んじゃ、今日は特別だな!良かったら家の寿司奢るぜ!」
山本はパチンと軽快な音を指で鳴らす。
「寿司?山本君家ってお寿司屋さんなの?いいなー♪お寿司食べ放題だね!!」
「食べ放題ってわけじゃねーけど、店の手伝いした分だけ好きなネタ食わせて貰えるんだ」
「私だったらお手伝いしまくるよ!ウニとか大トロ食べたいから」
山本とゆりなは言葉のキャッチボールを繰り返しているようだ。
「そうだ!少し屋台とかで遊んだら武ん家行こうよ!何かあたしの脳内が今日の内にお寿司食べた方がいいって司令出してるし」
輪廻が親指を立てて言う。
「はぁい!私賛成♪」
「オイラも!!」
「ウチも」
「…どちらでも」
皆の意見を確認した輪廻は、最後に私に軽くウインクをしてくれた。
「はい決まり。早速屋台巡りしようよ!」
皆がそれぞれ会話をしながら騒がしい祭り会場へと戻る中、私と山本はただそこに立ち尽くす。
「なあ中津」
不意に後ろから声を掛けられた。その声はやや重苦しそうに思える。
「何?」
ゆっくり振り向くとさっきまでの重い金属を背負ったような感じは消え、代わりに暖かい笑みが浮かんだ。
「俺…中津がそんな目に会ってたなんて思わなかった。気づけなくてごめんな」
「………」
まだ続けたそうだったのであえて返事は返さない。
「でもよかったよ。これから頑張れば昔の中津に戻れるんだろ?…それに俺————」
「中津の事が…好きだから」
その声は空に打ち上げられた花火と重なって、私の元に届く事は無かった。