二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.339 )
- 日時: 2010/08/23 15:00
- 名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: BjWSzvYn)
- 参照: ふもももももももも!!
◎ #29 —行方不明→
次々と打たれる花火が照らす中、私たちは屋台街道(名付け親 輪廻)をぐるぐる巡っていた。
「おおー。結構屋台出てるのな」
山本は左右の屋台に視線を向けて独り言のように呟く。
それを聞いたゆりなは嬉しそうに振り返り、
「だよねー!!もう本当、平凡な町のお祭りとは思えない数!」
「並盛町」という名前からして、至って普通の自治会が適当に行っているようなイメージはあるが、それとは大違いだ。年に一度の行事だからと夏祭り好きの会長が勢力を上げて開催しているらしい。
大体すべての行事が年に一度だと思うのだが、夏祭りが進化していくのとは対照的に、それ以外は年を重ねるごとに一層としょぼくなるのはどうしてだろうか。
「ていうかチョコバナナ美味しかったよ!あれ最高だった」
「あー、それ俺が作ったんだぜ」
「え、本当!?すごいねえ」
それからゆりなと山本の会話は輪廻たちに会うまで途切れることはなかった。
必死になってヨーヨーを釣ろうとしている二人を見つけた山本を始めに駆け寄り、ゆりなが「どう?」と背後から声を掛けた。
「全然ダメ。ほら、フックに引っ掛かってる紙が脆いの!」
輪廻は色とりどりのヨーヨーが浮かぶビニールプールの縁に頬杖をつきながら、釣り糸となるS字フックのついた紙を指さした。
その瞳は怒りの色に満ちていて、例えるならあと一回失敗したら屋台の店主に殴りかかりそうな勢いだ。
「何回やってんの?」
興味深そうに身を屈めるゆりな。
「15回目。なんだかんだで取れなかったらサービスしてくれるんだけどね」
「ね?」と言いたそうに店主に視線を送る。それに気付くと店主は誇らしげに胸を張って言った。
「可愛子ちゃんにはサービスってね!そこのお兄ちゃんには頑張ってもらってるけど」
なんと不公平な。
つまり輪廻には何回もサービス券を渡していて、野猿には男という理由のみでお金をかけて再挑戦してもらっているというわけだ。多分、野猿も輪廻と同じ回数チャレンジしているのだろう。
「あ、取れ……てない!落ちた!落ちやがったああ」
頭を掻き毟りながら大げさに地団駄を踏む野猿。
「頑張ってるな」
ひょいと山本が顔を覗かせると、驚いたように目を丸くした。そして後ずさる。
「ま、まあな」
何を察したのかニヤニヤと笑う山本。そして周囲を見渡しながら何かに気づいたようだ。
「そーいえば、スパナは?」
「あれ?さっき大量のフィギュアを抱えてたけど……いないの?」
と、その時。
私の中に黒い靄のような……
嫌なモノが、沸いてきた——。