二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】幻覚花弁。—*angraecum*— ( No.42 )
日時: 2010/03/24 20:04
名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: I69Bg0jY)

◎ #09 協力者


「あんたならきっと…白蘭に勝てると思う。ウチはそれに協力する」

スパナは意味深に笑って見せる。出来る事なら私も彼に笑い返したい。

と、私が顔を引き攣らせてでも笑顔を見せようかと思い始めた時、ドアの向こうからやや控えめな声が聞こえて来た。

「あの…郁アネキ…??」

明らかに野猿の声だ。いつもと雰囲気が違うような気もするが…

「何」

ドアを凝視するが返答が来ない。「その…あのさ、えっと」などと、本題を口にしようとはしないので、私は野猿の方へ近寄ってドアを開けた。

「あ、その…オイラ、今の話聞いちまったんだ」

眉をハの字に下げながら言う野猿。

「全部か?」

ずっと無言でいた私の代わりにスパナが質問してくれた。

「べ、別に盗み聞きしようと思ったんじゃねーよ!?たまたま郁アネキの部屋の前を通りかかったんだ。そしたら…」

あたふたしながら手を振ったりして誤解を解いてもらおうとしている様子だ。

「分かってる。あなたはそんな真似はしないと思う」

そんな私の言葉に安心したのか野猿はほっと溜め息をつく。

「…それで、オイラも協力したいんだ!」

こんな短時間で新たに協力してくれるという者が出てくるとは思わなかった。それはスパナも同じだったのかもしれない。それを証拠に、彼は目を点にして野猿を見つめている。

「オイラには郁アネキみてーにすげえ力は無いかもしれねーけどさ!!一人より二人、二人より三人だろ?」

野猿は私の目の前で両手を使って「いち」「に」「さん」と表している。

一方の私は、協力者が増えたというのに喜びも露わに出来ていない。

それ以前に「ありがとう」「嬉しい」などと思わないんだ。別に…って感じかもしれない。

「一緒に頑張ろうぜっ!!」

彼はこの部屋に訪れた時のしゅんとした感情は吹雪に飛ばされたかのように無くなり、代わりに花のような笑みを浮かべていた。

本当に、子供みたいに。