二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.130 )
日時: 2010/08/24 12:04
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)

「あれが……吹雪!?」

 円堂が絶句すると、アイリスが当然だと言わんばかりの顔つきで、驚愕(きょうがく)する雷門イレブンに淡々と説明を入れる。

「吹雪は——なんというか、試合の時になると『人』が変わるの。まるで別人みたいでしょ?」
「ああ。驚いたぜ」

 風丸が頷き、染岡を除いて雷門イレブンはうんうんと頷く。
 何故か染岡は人が変わろうが、あいつが豪炎寺の代わりになんてなるかよ……と吹雪をどこまでも拒絶していた。

「あれは、試合の時にだけ出てくる『吹雪』。あんな荒っぽい吹雪、学校じゃ見たことないもの」

 アイリスが話していると、DFの位置にいた『吹雪』が、白恋メンバーの先頭——すなわちFWの位置に躍り出て来た。右腕に青いキャプテンマークをし、不敵に雷門イレブンに笑いかける。

「フットボールフロンティアの優勝校か。少しはオレを楽しませることが出来んのか?」

 不敵というか、それは挑発に近い笑いだった。
 また染岡がぎりぎりと歯ぎしりをし、目をみるみるうちに逆三角にして、吹雪に食ってかかる。

「おい吹雪! オレたちをバカにしてんのか!」
「バカになんかしてねえよ。それに実力の違いは、試合で見あおうじゃないか。北海道の猛獣さんよぉ? よそ見してると、また凍らされるぜ?」

 完全に『吹雪』に見下された態度をとられた染岡は、軽くぶん殴ってやろうと『吹雪』に詰め寄ろうとした——ところで。鬼道に、身体を叩かれる。

「……染岡、少しは落ちつけ。バカにされたのなら、試合で見返せばいいだけの話だ」
「言われなくてもやってやるぜ!」

 敵意をこめた眼で『吹雪』を睨むと、向こうは怯むことなく強い光を宿した瞳で見つめ返してくる。『吹雪』はくるりと白恋サッカー部の方を向き、

「今日もバンバン点を取ってやるから安心しろよ!」

 と自信に満ち溢れた一言を放ち、白恋サッカー部は盛り上がった。
 ここでホイッスルが鳴り、白恋ボールで試合が再開される。『吹雪』はボールが渡された瞬間—ー彼は、それこそオオカミのように単騎で突っ込んできた。白恋メンバーは、己のそれぞれの位置から動かない。どうやら『吹雪』一人任せにしているようだ。
 早いスピードに染岡は抜かれ、ぎりぎりで一之瀬が追い付き、『吹雪』に体当たりを仕掛ける。が、『吹雪』も負けじと身体をぶつけ、ぶつけ合いが続いた。

「おらあっ!」

 雄たけびを上げて、『吹雪』は片手で一之瀬をなぎはらった。一瞬一之瀬がひるみ、そのすきに先に進まれてしまう。

「くっ! なんて突破力だ!」

「てやあっ!」

 今度は風丸と鬼道がスライディングでボールを、二人同時に足で押さえつける。だが『吹雪』の苛烈な動きは留まらない。力で押し返され、風丸と鬼道が弾き飛ばされる。
 ボールをキープした吹雪は、そのまま円堂へと迫る。

(……すごい! すごいぜ! 吹雪)

 『吹雪』が一歩近づくたびに、円堂の心臓の鼓動も呼応して早くなる。風が冷たさを増し、また波となって襲い掛かってくる。だが円堂の心は、寒さよりも強くマグマのような熱い闘志が燃え上がっていた。

「決めるぜ! <エターナルブリザード>!」
 
 噂に聞いた<エターナルブリザード>が来る。
 『吹雪』は、両足でボールを挟み込むと、そのまま片手を地に着き前に屈みこんだ。するとボールは、上空に浮かぶのだが、その周りを冷気が囲い始めた。冷気はボールを中心として回転しながら、かなりのスピードでボールを急激に凍らせていく。近くにいるとわかるのだが、ひゅう……と獣が唸るような風の音がして、それなりの威圧感を与えてくる。そして吹雪は凍りつづけるボールに向かって跳び上がると、2回程回転し、3回目の回転途中でボールを蹴った。凍りついたボールが、円堂の元へと一直線に襲い掛かってくる。

〜つづく〜