二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.140 )
日時: 2010/08/28 18:47
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)
参照: 学校がもうすぐ始まるぞ!……いろいろと怖いのです

 午前十時過ぎまでコテージの外でパス練習をしたり、体力づくりとして走り回ったりしてから、再び迎えの車で二人は一路空港へと向かう。また飛行機で、白恋中学校の近くにある空港へ。またスミスが手配したと言う黒いリムジンで、二人は白恋中学校へ。
 初めてみる一面の雪景色に二人ははしゃぎ、しばらく雪合戦をしたりとじゃれ合っていた。やがて白恋中学校に足を踏み入れると、円堂たちが吹雪と共にこの雪原で特訓していると生徒に教えられた。詳しく場所を聞き、二人でその場所に向かって歩き出す。
 学校から5分ほどにある小高い丘。人工的に木は切られているのか、白い雪原と雪が積もった大岩の灰色だけしかない。もっこりとかまくらのように膨らんだ斜面に雷門イレブンはいた。ジャージの色が黄色や青であるため、白い雪原ではよく目立つ。
 みんな頭にヘルメットをし、足にはスキー板、手にはスキーの時に使うすべる棒が握られている。何故かスキーをしていた。
 そんなメンバーを見つけた蓮は微笑みながら、斜面へ塔子と共に近づく。

「なんかみんなずいぶん辺鄙な場所に——」

 発せられるはずの言葉は飲みこまれてしまった。
 嫌な視線を背中に感じる。刺すような、それでいて探るような、不快感に満ちた冷たい視線。蓮の足がすくむ。まるで背中に重い”何か”が乗っているかのように、身体全身が重い。それはたぶん威圧感のせいだろう。見ている何者かが発する禍々しい(まがまがしい)空気が、蓮の身体を潰そうと乗っかってくる。ちょうど肉食動物に睨まれる獲物の気分だ。とても怖い。体中の毛穴が開き、冷や汗がだらだらと流れていく。心臓の鼓動をいつもよりもはっきりと感じられる。顔が青ざめる。
 視線の主がニタァと不気味に笑った。ゆっくりと感じる視線の距離が短くなる。どんどん近づいてくる。蓮は自分を奮い立たせた。逃げない、こいつと戦わなきゃと無理に言い聞かせる。おそるおそる後ろを振り向くと、そこには——

「やあ、キミたちが白鳥くんに塔子さんかい?」

 吹雪がいた。白恋のジャージを身につけ、頭には青いヘルメット。片手で地面に刺した青字のスキー板を支えている。柔らかい笑みを口元に浮かべている。
 いつのまにか圧迫するような威圧感も、辺りを凍てつかせる視線もなくなっていた。こんな穏やかな人間がさっきの人物だとはとうてい思えない。

「白鳥どうした? 顔が青いぞ?」

 蓮の顔が青ざめていることに気づいた塔子が、蓮を心配そうに見つめた。蓮は顔に生気を取り戻しながら、

「今、誰かに見られていた気がする……」

 言いながら辺りを見渡す。
 聞こえるのは雷門イレブンがスキーで上げる歓声と悲鳴だけ。
 見えるのは雷門イレブンがスキーを行う姿と、白銀のこの広い世界だけ。
 塔子も同じように辺りを見るが、異変などないことに気づき笑い飛ばす。

「気のせいじゃないのか?」
「ん〜……」

 唸り声を上げると、蓮は腕組みをした。
 と気付いたように塔子が吹雪に話しかける。

「ところで、おまえは誰だ?」
「初めまして。ボクは吹雪 士郎」

 にこやかに自己紹介をした吹雪を、塔子と蓮は好奇と驚きが入り混じった瞳で見た。

「え! お前が吹雪なのか!」
「イメージと全然違うなぁ」
「やっぱり……噂に惑わされていたんだね」

 それから吹雪が噂は勝手に人が作ったものに尾ひれが付きすごく大げさになった事、自分はこれからジェミニストームと戦うために雷門イレブンを特訓していることを話してくれた。

「思うんだけど、雷門イレブンにはスピードが足りないと思うんだ。これを使えば、きっと早くなるよ」

 背後にあるスノーボードを見ながら吹雪は言った。蓮と塔子が互いを一度見合い、首をかしげる。

「スキーで早くなるのかな」
「ボクはこうやってスピードを上げて来たんだ。風と身体を一体化する感覚を覚えれば、もっと早くなると思うよ」
「モノは試しだ! 白鳥、やろうぜ!」

 はりきりだして蓮の袖を引っ張る塔子を見て、吹雪は丘の上を指差した。

「スキーの道具は上にあるから、とりあえず持ってきてもらえるかな。二人にはボクが一から教えるよ」
「よ〜し! あたしが一番乗りだぁ!」
「僕だって負けないぞ!」

 言うが早いか蓮と塔子は、はり合いながら丘の上にかけだし始めた。雷門イレブンに挨拶をしながら、必死に丘を走って登る。蹴りあげられた雪の切片が、日を反射してきらきらと輝く。
 そんな二人を笑顔で見ていた吹雪に、弱い冷風が吹きつけた。白いマフラーがはためく。みるみるうちに目がオレンジになり、髪の毛がツンと上に尖る。『吹雪』であった。『吹雪』は塔子に負けじと、歯を食いしばって丘の上にのぼる蓮に視線を向ける。口元を不気味にゆがませた。

「白鳥か……くく、おもしれえ野郎だぜ」

 
〜つづく〜
蓮が感じた視線の正体はアツヤです。何を考えているのかってこの小説は謎が多すぎですね^^;アツヤの方はわりかしら早く判明させるつもりです。
ところで蓮に絡むのは氷属性ばかりってことに、ここ最近気づきました。吹雪もガゼルも大好きですv

北海道は謎だらけにしたいんですb