二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.165 )
日時: 2010/09/14 19:07
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: 2lvkklET)
参照: 見えないトオイトオイ記憶

(ここ、白恋中学校だ)
 
 蓮はぐるりと辺りを見渡した。
 雷門イレブンがグラウンドに立っている。
 白く残った雪、倉庫のような木造家屋。ぼーっとする頭を覚ます切る様な冷たさ。間違いなく北海道だ。

(なんでだろう。なんかひどく懐かしい夢を見ていた気がする)

 蓮は目を細めて、ねずみ色の空を見上げた。
 あれは間違いなく幼いころの記憶だった。階段から落ちて失ったはずの暑い夏の日。何故いまさら思い出したのだろう。
 考えながらフィールドの右側に目をやると、青ざめているジェミニストームのメンバーたちがいた。全員が目を見開き、フィールド脇の一点に視線を据えている。
 蓮はジェミニストームメンバーの視線を追うと、そこにはスコアボードがあった。白く大きな文字で「雷門1:ジェミニ1」と書かれている。その文字を見た瞬間、蓮の心が躍った。
 身体はうまく言うことを聞かず、座ったまま蓮は思いっきり笑う。
 雷門イレブンは、ジェミニストームと互角(ごかく)になったのだ。眠っている間に行われたであろう、苛烈(かれつ)な試合が脳裏に浮かぶ。
 同時にフィールドに立ちたいと言う思いが心の奥底から湧き上がってきて、胸を締め付ける。

「白鳥」

 肩をたたかれていることに気づき、蓮ははっとして現実に戻る。後ろを振り向くと、円堂が瞳子と共に立っていた。

「あ、円堂くん」
「大丈夫か?」

 円堂が蓮の隣に腰掛け、心配そうに覗き込んでくる。

「うん。頭がぼうっとするけど、大丈夫」
「……そっか」

 心配させてはならないと、蓮は作り笑いをした。それでも顔は素直で、すぐに潤んだ目があらわになる。
 円堂は瞳を陰らせて、瞳子を見つめる。瞳子は円堂に何か目配せをし、蓮に視線をやる。
 しばらく円堂は黙って考え込んでいたが、やがて何か決め込んだような表情で、ちらっとグラウンドを見てから蓮に向き直った。

「栗松が……あんな状態なんだ。後半から試合に出てほしい。出れそうか?」

 グラウンドを見ると、足を引きずった栗松が壁山と塔子に肩を支えられて、こちらに歩いてくる途中だった。どこかぶつかったのか、しきりに顔をゆがめている。
 苦しむ栗松の姿を見て、何もできない自分の無力さに愕然(がくぜん)とする。こうして苦しむ仲間がいるのに、のんきに眠っていた自分が恥ずかしい。蓮は唇をぐっと引き結ぶと、立ち上がった。

「……僕で役に立てるなら」
「お前は十分強い! 自信を持てよ」

〜つづく〜
今回もかなり短文です!9月になると本格的に受験勉強を開始するので、更新は週に一回か二回になりそうです;;
短いですが、ちょくちょくがんばっていきます!