二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜短編リク募集中♪ ( No.184 )
- 日時: 2010/10/11 09:56
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)
突然の言葉に状況を飲み込むのに数秒を要した。
染岡はおとなしく引き下がり、代りに円堂が蓮の前に立つ。円堂はしばらく食い入るように蓮を見つめていたが、急に頭を下げた。
「ごめん! 白鳥!」
「え、円堂くん?」
それから数回平謝りされ、蓮はますます罪悪感が増していった。
謝らなくちゃいけないのはこっちなのに、こんなに謝罪を入れられていいのだろうか。やっぱり自分はまだ円堂くんに迷惑をかけている——顔に出さないよう努めていたが、蓮の黒い瞳はますます暗さを増していた。そのことを円堂は察知したらしく、バッと顔を上げる。
「オレ……キャプテンなのに、お前の悩みに気付いてやれなくて本当にごめんな」
「いいよ。昔から悩み抱え込んじゃうのは、僕の悪い癖なんだ。僕こそ急に思いを爆発させたりしてごめん」
蓮は悲しげに顔をほころばした。瞳は笑っているが、口元をぐっと噛んでいる。かなり強い力で噛んでいるらしく、唇の輪郭が赤く浮かび上がっていた。そんな蓮を、円堂は真剣な眼差しで見つめる。そして本当に心からの思いを蓮にぶつける。
「お前はチームの荷物じゃない。後半だけだって、参加していれば立派な選手だ。今回だって、レーゼの<ユニバースブラスト>を弱めてくれたじゃないか」
蓮は首を横に振る。
「あれは、塔子さんもいたからさ。僕だけじゃ、とてもあそこまでは弱められなかった」
「塔子がいたとしても、お前が弱めてくれた事実に変わりはないだろ? もっと自信持てよ」
蓮は首を横に振る。そして長い息を吐きながら、目線を円堂から下の地面にうつす。
「今回も前回も活躍できたからまだよかった。でも、もし本当に痛みが激しくて、僕が試合に出なかったら。それだって怖いくらいにあり得る話なんだ」
「それはオレだって同じだ、白鳥」
その言葉に弾かれたように蓮が顔を上げ、円堂に目をやった。顔には、涙が流れた跡がまだ残っていた。
「なんで?」
「オレだって、次の試合の時には怪我をしているかもしれないし、ひょっとしたら熱で倒れているかもしれないんだ。試合に出れない可能性は、オレ達雷門サッカー部全員にある。だから白鳥が一回か二回出れないくたって、気にしない。それに……」
円堂は一度言葉を切ると、風丸、染岡、吹雪を順番に見やった。三人ともこっくと小さく頷いた。
少しじれったい気持ちになった蓮は、せかすように続きを促す。
「それに?」
円堂は、にぃっと澄んで光を反射する水面の様な笑みを浮かべる。自分の胸をポンと手でたたいた。
「それに仲間がいるだろ? 倒れているときは、別の仲間が頑張ってくれる。次に出ればいいだろ?」
「……仲間」
〜つづく〜