二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.19 )
日時: 2010/04/06 17:50
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: ErINZn8e)

 頬に冷たい感覚がし、蓮はパッと目を開く。ゆっくりと上体を起こし、辺りを見渡すと、そこは自分の部屋であった。頬の冷たい感覚は、ベットのすぐ右横にある風のせいだったらしい。窓が開け放たれ、白いカーテンがはためいている。

「……あれ? 僕たしか——」

 そこまで言いかけて、蓮の脳裏に、黒いローブを着た人間たちのイメージがはっきりと浮かんできた。

「あいつらにシュートを打って……どうなったんだろう」

 腕を組んで唸る(うなる)蓮。そこへ、タイミング良くドアをノックする音がし、傘美野中学校前で出会った女性が入ってきた。

「え! あ、あなたは……どうしてここに!?」

 知らない女性が部屋に入ってくるので、蓮はたじろいだ。しかし女性の方はゆっくりと進むと、机から椅子を引っ張り出して座ってしまう。遠慮する気はないらしい。机に広がるノートやシャーペンをいじりながら、女性は話始める。

「勝手に家に入って悪かったわね。あなたのお母さんに連絡したら、仕事で帰れないって言うから、あがらせてもらったの」
「……そうだったんですか。えっと」
 
 相手を何て呼べばいいかわからず、蓮は言葉を詰まらせた。それを察したのか、ペンをいじるのを止め、女性は蓮をしっかり見据えた。美しい顔立ちなので、見つめられると心臓が激しく高鳴ってしまう。相変わらず惚れっぽいのは治らない。

「私は、吉良 瞳子(きら ひとみこ)。雷門サッカー部の新しい監督(かんとく)よ」
「瞳子監督ですね。あれから傘美野は……?」
「破壊されたわ」
「えっ!?」

 躊躇(ちゅうちょ)もせず、瞳子はあっさりと言い切った。

「雷門が試合に負けたから、約束通り破壊された。それに雷門イレブンの子たちも、何人か入院したわ。……しばらくサッカーは出来ないでしょう」
「あいつら……勝手なことばかりして」

 蓮は手をぎゅっと握った。倒れていた雷門のみんなを救えなかったことが、なによりも悔しい。彼らを思い出すたび、心に「あいつらを倒したい」と言う炎が燃え上がって行く。

「そこであなたにお願いがあるの」
「お願い? なんですか?」
「雷門サッカー部に入部してほしいの。私は、これから雷門サッカー部を、エイリア学園と戦える地上最強のチームにする。そのためにも、あなたの力が必要なのよ」
「そうだよ! 入ってくれよ、白鳥!」

 その言葉を待っていましたと言わんばかりに、一人の少年が部屋に飛び込んできた。短い褐色の髪、額の上にオレンジ色のバンダナをしている。目は黒いが、二重の大きな瞳なのでとても可愛らしい。彼は、確かさっきの試合でゴールに立っていた子だろう。
 
「え? 君は……」
「彼は円堂 守(えんどう まもる)。雷門サッカー部のキャプテン。あなたを心配して、ついてきたの」

 瞳子から紹介を受けた円堂は、よろしくな! とにっこりとほほ笑んだ。そして、気がついたように

「身体、もう大丈夫か?」
「うん。もう大丈夫だよ」
「よかった! いきなり倒れるからびっくりしたんだぜ。風丸と壁山(かべやま)の二人が、助けたんだ。あ、二人とも雷門サッカー部の仲間だ」

 円堂が話終わるのを見計らい、蓮は切りだした。

「円堂くん、瞳子監督。僕はサッカーを……」
「サッカーをやると倒れてしまう。あなたのこと、色々と調べさせてもらったわ。……5歳のころ、サッカー大会で意識不明になったことがあるとか」


〜つづく〜
もう少しで奈良編に入ります。奈良に行きたいですっ。