二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜短編リク募集中♪ ( No.197 )
- 日時: 2010/11/02 16:57
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)
- 参照: きみどりポスター飾りたいけど、どこに飾ればいいのだろうか
そうアツヤが言ったのを最後に、しばらく二人の間に沈黙が下りた。牽制(けんせい)しあうように睨みあい、そのまま固まっている。風が起こす葉擦れの音だけが、静寂の空間を切り裂いていく。
「……そっち行ってもいいか?」
不意にアツヤが口を開き、蓮は顔の警戒の色を消さないまま頷いた。アツヤは蓮から視線を外すと、キャラバンの裏手に回る。鉄が叩かれる高い音がし、アツヤがキャラバンの屋場に上がってきた。蓮は占領していた中央部分から少しそれ、アツヤが座れるようにする。アツヤは無言で蓮の横に腰をおろした。
「様子を見る限り、主人格は吹雪くんのほうだね」
沈黙が嫌で蓮はアツヤに話しかけた。アツヤは蓮の方を向くと、当たり前だろと言わんばかりの顔をする。
「白鳥の言う通り、士郎の方だ」
「じゃあさお前、何でわざわざ出て来たんだ」
蓮は語勢を強めてアツヤに聞いた。するとアツヤは薄ら笑いを口元に浮かべ、
「白鳥と一回話してみたかったんだよ」
急にアツヤが膝立ちになった。すっと人差し指を蓮のあごに当て、蓮の顔を無理やり上げさせる。とたんアツヤは蓮の瞳を覗き込もうとするかのように、顔を思い切り近づけた。二人の顔の距離は数十センチほどしかない。
アツヤは蓮の目をじっと見つめる。蓮は恐怖のあまり目を見開いたまま、動かない。
「……黒い瞳か。随分便利なもの持ってんじゃねぇか」
「な、なんのことだよ」
アツヤの冷たい眼光を真正面に受けながら、蓮は声を震わせて言った。
そらせない。何故だか目をそらせない。そらすことを許さない威圧感がそこにはある。アツヤの視線が、自分の奥へ奥へと進んでくる。まるで心の内を探られているかのようだ。圧迫感が心の奥を無理やり引きずり出そうとしている。心臓が早鐘をうつように激しく脈打つ。早く終わってくれと心の中で祈る。それしかできない。
「黒ってのは便利な色だよなぁ? 混ぜればほとんどの色は黒に染まって行く。混ぜれば混ぜるほど、黒味は増して——やがては漆黒に染まる」
ずぶずぶとアツヤの視線が、ますます心に突き刺さってくる。これがナイフなら血が出ているくらいに。
アツヤは確実に自分の心を見透かしている——蓮はそのことを言葉の端端から感じ取っていた。
「お前、その瞳の奥で幾重(いくえ)黒を重ねてんだよ?」
「え」
蓮は思いがけないことを聞かれ、一瞬目線を下げた。しかしアツヤは人差し指の力を強くし、容赦なく視線を合わせさせる。だが心を引きずりだそうとする嫌な感覚はなくなっていた。
「僕が、何か隠しているって言いたいのか」
嫌々ながら答えると、アツヤは目を丸くした。
「ほう。馬鹿じゃねぇ様だな。オレが言いたいのは、その漆黒の奥に何を隠しているかってこと」
蓮は目を瞬く。
「隠す? ひょっとして僕がチームのお荷物だとくよくよ悩んでいたことか? それならもう大丈夫だ。染岡くんに殴られて、円堂くんに励まされて……なんかふっきれた。みんな、僕のことを拒んだりしない。邪険に扱ったりしない。それどころか仲間として認めてくれている。だからこそ、僕は最後までエイリア学園と戦うつもりだ」
力強く蓮が話すと、アツヤは首を横に振った。
「そっちじゃねぇよ」
「え? 違うのか?」
「一言で言うぜ。白鳥、お前——一部記憶喪失になってるだろ?」
そこでアツヤが蓮のあごから人差し指を離した。
解放された喜びよりも、蓮は記憶喪失だと言うことをアツヤに言い当てられた驚きが増しアツヤの方に、身を乗り出した。
「な、なんで僕が小学校3年生の頃より前の記憶がないこと知っているの?」
興奮しているせいか早口になり、声が上ずった。
アツヤは冷静に蓮をまっすぐ見据えて、
「瞳(め)でわかる。お前は、自分で自分の記憶を封じ込めてんだよ。意識的にじゃない。無意識に……な。士郎とある意味で同じだ」
「え? 吹雪くんと?」
吹雪の名が出て蓮はきょとんとした。アツヤは腕を組み、なおも淡々と語りつづける。
「士郎は白鳥と逆だ。意識的に、自分の記憶を抑えつけようとしている。だけどな、無理して自分を抑えつけてんのはお前も士郎も同じだ。オレはな、お前の”月”になるつもりだ」
「つ、き……?」
蓮が不思議そうに首をかしげると、アツヤは天を見上げる。蓮も上に視線をやると、ちかちかと輝く星の中でも、少しだけ優しい光の満月があった。アツヤはあんなに優しくない。
「お前の光はナイフだ。鈍く不気味に輝き、僕から全てを剥ぐ(はぐ)つもりなんだろ」
蓮がアツヤに視線を戻しながら素っ気なく(そっけなく)言った。
「どうだろうな。お前の瞳は、例えるなら夜を移す水面(みなも)……オレはその真っ暗闇を照らしたいだけだ。お前が本当に嫌いなら、ここまでしねぇよ」
アツヤが自虐的な笑みを浮かべ、蓮はそっぽを向いた。
恐怖感こそ消えたが、アツヤには不信感を抱かざるを得ない。何を考えているのかわからないその不敵な顔に、蓮は憮然(ぶぜん)とした表情を一人浮かべた。
「じゃあ、オレはそろそろ帰るぜ」
「は?」
一瞬理解に苦しみ、蓮は驚きの声を口から零してアツヤを見なおす。アツヤは左手で白いマフラーを触ろうとしている姿勢のまま、蓮を見ていた。
「言っておくが”アツヤ”のことは、士郎にも雷門イレブンにも話しても無駄だ。白い目で見られたくなかったら、黙っていることだな」
「ちょ……どういうことだよ!」
蓮が吠えた瞬間、アツヤは目を閉じて白いマフラーに触れる。冷たい風が吹き付け、蓮の前髪と吹雪の白いマフラーを揺らした。
アツヤが見る見るうちに戻って行く。上から押さえつけたかのように髪は下向きになり、色も元の濃さを取り戻した。やがて目をあけると、そこに濃い緑の瞳があった。——吹雪 士郎であった。
〜つづく〜
実に三週間ぶりでした^^;中間テストのためかけずにすいませんでしたー!これからも週一更新ですが、気長に待っていて下さると嬉しい限りです。
なんか今回の話はかなりひぐらしの〜の罪滅ぼしとかの影響を受けてます。梨花ちゃんが「あなたが初めて〜」と言ったシーン大好きですvでも描写下手なので、イメージが伝わってない可能性が高そうだ^^;
そして冒頭の言葉が、出会い~なのにまだ南雲に会ってません。よしまんゆうじは後回しに・・・・!
後最近家族にアフロディのカードを見せたら、どう見ても女。男だと言うのは無理があるって酷評(こくひょう)が来ました;;涙が溢れる……風丸は可愛いと言ってくれたのに。アフロディも素的なのに^^;