二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.200 )
- 日時: 2010/10/30 18:11
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)
- 参照: 甘いのってどう書けばいいんでしょう!?
番外編
またいこう〜memory is〜
ジェミニストームとの戦いを控えた前夜、雷門サッカー部は白恋サッカー部のメンバーをキャラバンに招待し、ささやかな交流会を催していた。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、時計は既に12時を指していて、白恋メンバーも雷門メンバーも座席にもたれかかるようにして、眠っている。
だがまだ円堂、風丸にアイリス、春奈の4人だけは起きていた。円堂と春奈、風丸とアイリスがそれぞれ隣同士に座り、通路を挟んだ一列目を占領している。
「それで、風丸先輩とアイリスさんって長い付き合いなんですね」
春奈が席の手すりから身を乗り出すようにして、風丸と春奈に尋ねた。その顔には強い好奇の光が輝き、手にはメモ用紙とシャーペンをしっかり握っている。まるで新聞記者のようだ。
尋ねられた風丸は少し困ったような顔でアイリスを見て、
「ただの幼馴染だよ。なあ?」
「そ、そうよね。たぶん」
アイリスは、頬を薄紅色に染めながら、軽く頷いた。
その様子を見た春奈の目はいっそう強い輝きを放ち、春奈は思いっきり身を乗り出した。通路に落ちるか落ちないか、と言うかなりぎりぎりの部分まで身体を出している。
「でしたらでしたら! 二人の過去話を聞かせて下さいよ!」
興奮しているのか、鼻息荒く言いながら春奈が上擦った声で言う。春奈の声はよく通るせいか、後ろで寝ている雷門イレブンと白恋メンバーの数人から唸る声が上がった。春奈は慌てて口をふさぐ。
「お、そりゃ面白そうだ」
寝ているメンバーを起こさないよう少し声を小さくして、円堂が同意する。
アイリスと風丸はお互いを見やり、思いだそうとするように遠くへと目をやった。
「一郎太とはよく二人で遊んだな」
「ああ。近くの公園で一緒に遊んだり、互いの家でカードゲームをしたり……そんなところか」
おお〜と春奈が感嘆の声を漏らす中、アイリスがはっとした顔になり、風丸の肩を叩く。
「昔と言えば、二人で道に迷ったことがあったわね」
「ああ。虹を追いかけていていたら、隣町まで行ってしまったんだよな」
アイリスはふっと笑う。
「あの時は怖かったわ。周りの雑踏(ざっとう)って、子供の頃は巨人が歩いているみたいに見えるんだもの」
「アイリスは泣いてたな」
風丸が笑いながら言って、アイリスがむくれる。春奈の感嘆の声のトーンがますます高くなり、その双眸には好奇を超えた何かが宿っている。
「そりゃ怖かったし、泣くわよ」
ふんっと窓の外に目をやったアイリスだが、急に下を向き少しはにかみながら、自分の両手を見つめる。
そして囁くように、
「けど、一郎太が手を握っててくれてすごく嬉しかった」
風丸の顔がみるみるうちに上気した。瞬間湯沸かし器のごとく真っ赤になり、心なしか湯気までがあがっているように見える。春奈が黄色い歓声を上げ、アイリスは意地の悪い笑みを顔に張り付けた。風丸の頬を人さし指で突っつく。
「あら忘れたの? 一郎太、あたしの手を握って『だいじょうぶだよ、アイリスちゃん。ぼくがいる』ってずっと励ましてくれたじゃない」
「……そう、だったな」
アイリスから視線を逸らしながら、風丸はしどろもどろに答える。やがて頬を小突かれていることに苛立って来たらしく、片手でアイリスの人差し指を軽く払いのけた。真っ赤になった顔を隠すためなのか、アイリスに背を向けてしまった。後ろで結われたポニーテールが静かに揺れる。
「そういえば、まだこのヘアゴムつけているの?」
揺れる風丸のポニーテールを、アイリスはしみじみと眺める。アイリスの言葉がわからない円堂が口を挟んだ。
「風丸、このヘアゴムずっと大事にしているんだぞ。なんかアイリスとあったのか?」
「これね、あたしが北海道に引っ越すときに一郎太にあげたの」
言いながらアイリスは風丸の赤いヘアゴムに手をかけると、風丸のポニーテールを片手で押え、ゆっくりと取り去った。支えを失った青い髪は、からまった糸がほどけるように、ふわっと風丸の背中を覆った。
「お、おい!」
慌てながら風丸が振り向く。アイリスは風丸を無視し、手のひらに置いた赤いヘアゴムを円堂と春奈に見せる。
「本当は別のものを渡したかったけど、急な引っ越しで時間がなかったの。だから、しぶしぶ私が一番に身につけていたこのヘアゴムを上げたの」
春奈が立ち上がり、今までにない甲高い声を張り上げた。円堂が驚いて目を丸くする。
「きゃ〜! やっぱりふたりはお似合いですよ! そうやって互いに優しくし合えるんですから!」
二人は互いを見あったが、すぐに気まずそうにアイリスは天井を、風丸は通路の床をそれぞれ見つめた。
数十秒の沈黙ののち、アイリスが少し遠慮がちに口を開いた。
「……ねえ一郎太、髪結んであげる」
「あ、私のくし貸しますね」
風丸が小さく首を頷くのを確認した春奈が、ピンク色の小さなくしをアイリスに手渡した。風丸は大人しく後ろを向き、アイリスは口に赤いヘアゴムを加えた。そして、風丸の髪にゆっくりとくしを入れる。くしで梳かれた髪は、流れるようにくしとくしの間をすり抜けた。アイリスがすくたびに、その髪はきらめきを増していく。やがてアイリスは慣れた手つきで風丸の髪を、後頭部のてっぺん近くでまとめ、片手で押さえつけた。髪の付け根にヘアゴムを通すと、これまた素早く二回、三回とまきつけてしまう。女の子がやったからか、いつもよりもポニーテールはきれいに整っていた。
「今度また虹を探しに行こうよ」
何気なくアイリスが零し、風丸が振り向く。
「どこまで見えるか、二人で探検するの」
「いいぜ」
二人はパンとお互いの手を合わせた。
〜FIN〜
わあ、私の稚拙な文章力じゃ甘くもなんともないですね。いつもよりも下手すぎて泣けてきます。もっと修行せねば。くりあ、ごめんなさい。ちょっとふうじんのまいで成層圏まで飛ばされてこよう。
なんですかね〜風丸さんの髪をほどいてみたかった。ダークエンペラーズの洗脳から溶けたばかりの風丸さん可愛いです。下手だからきっと臨場感はないと思いますが、ほどいてみたかったの。