二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜☆人気投票開催中! ( No.231 )
- 日時: 2011/01/25 16:18
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: Ua50T30Q)
- 参照: 時系列は秘密。幼少ガゼバンが書きたくなった。幼少蓮も出てくるよ
番外編(タイトルは後ほど決めます。幼少ガゼバン+蓮)
「な……なんで……」
蓮は自分の目の前に広がる光景が信じられず、愕然(がくぜん)とした。
今、蓮は公園の中にいる。住宅街の一角によくある狭いもので、ブランコと滑り台、砂場くらいしかない。しかし風景は日常的によくあるもので、目を疑う様なものではない。問題なのは、自分を見上げる子供二名。
その二人は、幼稚園ほどだろうか。背丈は蓮の膝までしかない。彼らは名前を知らない通りすがりの子供などではなく、
「なんで晴矢と風介がこんなに小さいんだよぉッ!」
嘆いた蓮の言葉通り、目の前にいるのは——幼い南雲と涼野だった。
*
そもそもの始まりは、目金が都市伝説を調査する、と言ったことだ。
目金によると、最近、ネット上で”ある”都市伝説がまことしやかに囁かれているらしい。その”ある”都市伝説と言うのが、”過去に行ける”—−つまりタイムスリップが可能になるとか、非常にウソ臭いものだった。
これを雷門サッカー部一丸となって調査しましょう! と入会式で宣誓を行うスポーツ選手のごとく目金は元気に宣誓したわけだが、誰も取り合わなかった。用事があるとか、塾があるとか適当な理由をつけて、みなはさっさと退散した。
もちろん蓮もさっさと抜け出した。が、後々、一人残された目金が何だかかわいそうと余計な憐憫(れんびん)の情を持ってしまい、協力させられる羽目になってしまう。
目金に連れられ、蓮は雷門中から少し離れた場所にある小さな公園に来た。
まだ早い時間なせいか、数人の子供を親を除いて人の姿は全く見えない。雷門ジャージ姿の中学生男子二人がいるのは、明らかに場違いだ。
「うわぁ……懐かしいなぁ」
公園に入るなり、蓮は懐かしむように目を細めた。
「なんで懐かしんです?」
しゃがみ込み、小枝を手に何かを地面に描きながら目金が尋ねる。
「お日様園にいた頃、よく晴矢と風介とここに来てたんだ」
瞼を閉じると、その光景が黒い世界の中に蘇ってくる。
幼い南雲がサッカーボールをむちゃくちゃな方向に蹴っていたり、幼い涼野が自分にリフティングを教えてくれたり。あげくの果てには、すっころんで二人に手を差し伸べてもらって起き上がったりした、情けない思い出も思いだしてしまい、蓮は内心苦笑した。
「へえ。バーンやガゼルとここに……ですか」
目金は小枝を動かす手を止めないまま、興味なさそうに呟いた。目金の前には大きめにイナズママークが描かれ、今はそれを丸で囲っている。
退屈になった蓮は、すぐ近くのベンチに座ると、前かがみになり、目金が地面に生み出していく図形をじっと見つめた。丸で囲まれたイナズママークの周囲は、見たことがない文字や四角や三角で覆われ意味がわからない。
蓮は、数学的知識から必死に意味をつかもうとするが、意味がわからず、最後には図形から目を逸らした。
その時、蓮は何か思いだした様な顔になり、
「”Need not to know”」
と、滑らかな発音で英語をこぼし、目金が手を止めて顔を上げる。
「”Need not to know”? なんですかそれ?」
「この公園で、一回きりだけど、かなりサッカーが上手い男の人に会ったことがあるんだ。その時に、その男の人に言われた言葉」
十年前のこの時期に、南雲や涼野と共に、蓮はサッカーが上手い男に会った。彼と何をしたのかはほとんど記憶の闇に葬られてしまったが、男は別れる時に”Need not to know”と言ったことだけは覚えている。本当はこの言葉の後に別の言葉をつづけていたが、何と言ったかまでは覚えていない。
「なら」
すっと目金は立ち上がり、手に持っていた小枝を捨てた。そして蓮に向き直り、耳を疑う様な質問をした。
「その言葉をもう一度聞きに行きたいと思いませんか?」
「無理だろ」
間髪いれずに蓮は笑い飛ばす。
「時間は流れるだけ。ただただまっすぐに進み続けるだけだ」
甘いですね、と目金が偉そうに言った。彼がかけている、黒縁のメガネのレンズが一瞬だが光った。目金はくくっと引くように笑い、人差し指でメガネを軽く持ち上げ、反対の手で、自分が描いた謎の図形を指し示す。
「それが。このマークがあれば行けるんですよ」
「ま、魔法陣ってやつか? これ?」
描かれた図形をベンチから覗き込み、蓮は首を傾げた。
完成した図形は幾何学模様がいくつも連なる、まさに魔法陣のようなものだった。ゲーム等と違い、中央にイナズママークがあるのが目金のオリジナルらしさを表している。
「これは、都市伝説実証実験の下準備ですよ。この陣を描き、願をかけると過去に行けるそうですよ」
どうやらこれがネットで流布(るふ)しているものらしい。
いかにもどっかのファンタジー漫画やアニメに出てくる魔法陣を組み合わせたもの。過去になど行けるはずがない——蓮はわずか数秒で結論づけた。
「ネコ型ロボットのタイムマシーンじゃないんだし、無理だろ」
「無理ではありませんよ。成功確率は『1%』です」
「……まあ、やってみる価値はあるかも。やり方は?」
はっきりと断言した目金の言葉に絶句しかかったが、目金にやり方を問う。すると、目金は魔法陣(?)の前に立ち、左ひざを地面に着け、身体を蓮の方に向けた。
「このように……魔法陣にボクと白鳥くんが向かい合うようにたち、左膝を地面に着き、手を組みながら、目を閉じて俯くのです」
「なんか、れーはいとかで見られそうだな」
正直な感想を述べつつ、蓮は目金の真正面に立った。ゆっくりと左膝を地面につけ、砂利が生む痛みを感じながら、両手を組む。それから目を閉じ、顔を少し下げた。
「次は?」
「心の中で祈るのです。行きたい時間に連れてってくれ、と」
目金に言われるがまま、蓮は心の中で十年前のあの日に連れてってくれと述べた。
その時、魔法陣(?)の中央にあるイナズママークが淡い黄色に輝き始めた。一定のテンポで明滅を繰り返していた光は膨張を始める。小さなドーム型の光はゆっくりとその規模を増し——やがて二人は飲みこまれた。
〜つづく〜
イナズマにえすえふ要素が加わったような話になってしまいました。
きっと最近涼宮ハルヒシリーズにハマった影響だと思います。ハルヒの中では長門が気に行ってますv