二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜☆番外編更新中 ( No.244 )
日時: 2011/02/02 16:43
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: Ua50T30Q)
参照: 幼少の三人の服のセンスは微妙ですv

 その後、蓮は幼い涼野の手を引きながら、住宅街の中を歩いていた。この近辺にいる(多分小さい)南雲を探すためである。
 この日、幼い南雲がどこにいたかは、蓮は知らない。だが、幼い涼野に話を聞き、蓮は自分なりに推測した。
 まず、南雲はサッカーボールを持ったまま外に飛び出て行ったらしい。と、言うことはボールがけれる場所にいる確率が高いと言うことになる。
 この頃の南雲の年齢を考慮し、そう遠くへは行っていないと仮定すると、南雲が行きそうな場所は三つに絞られる。幼い涼野と出会った公園、お日さま園、涼野と出会った公園から少し離れた公園だ。一番目は、南雲の姿はなかったのでだめ。二番目は自分の記憶から消去できる。蓮も一度は外に出たが、どうしてよいのかわからず、お日さま園に戻ったのだ。この時、南雲を見た覚えはない。あくまで自分の記憶が正しければ、の話だが、今は自分の記憶を信じることにし、残った公園へと歩みを進めている。
 ゆっくりと歩きながら、蓮は幼い涼野と歩く時間を満喫していた。子供の手を引いて歩くなど、小学校六年生の時、下級生の面倒を見させられた時以来であるが、楽しいものだ。大人しくついてくる、幼い涼野を見ていると、何故だか心が楽しい。時折幼い涼野が自分を見上げる視線を感じると、自分が兄にでもなったような気分。幼い涼野が可愛く見えてくる。だが、それは今の涼野が蓮に従順だからだろう。生意気を言って振り回すような子供だったら、可愛いなどとは思えない。
 小さい風介は可愛いなぁと、蓮が幼い涼野を可愛がるように目を細めていると、

「はるやと、なかなおりできるか?」

 幼い涼野が不安げに尋ねて来た。同時に幼い涼野の歩くペースが落ちた。
 ふっと前を見ると、公園のフェンスが見え始めていた。どうやら、晴矢と仲直りできるか不安で仕方ないようだ。蓮は幼い涼野の歩調に合わせると、優しく微笑みかける。

「……できるよ、風介くん」

 蓮の周りを明るくするような笑みに安心したのか、幼い涼野は微かに微笑を浮かべ、小さく頷いた。
 
 蓮たちがやってきた公園は、住宅街の一角にある小さなものだった。辺りは緑のフェンスで囲まれ、小さな木が少しある。ただ、遊具は砂場を除いて全くない。代わりに、大きなコンクリートの壁が、公園の入り口からだいぶ離れた場所に立っていた。高さは二m程。横の長さは、公園の横の長さをほとんど占拠するほど長い。テニスなどのボール当ての目印になるのか、黄色に塗りつぶされた円があちこちに描かれている。
 その円の一つに向かって、勢いがついたボールが跳んできた。しかし、サッカーボールは円の中央には当たらず、上の方に当たって、跳ねかえる。跳ねかえってきたボールに少年は駆けより、止めないまま、思いっきり蹴った。紅蓮のごとく赤い髪が忙しく舞い上がる。蓮と幼い涼野は、公園の入り口からその少年の後ろ姿を眺めていた。
 赤い髪に、スポーツメーカーのロゴが入ったオレンジの半袖のシャツ、茶色い短パン姿の少年。ずっとサッカーボールを追い続けているが、円には全く命中していない。
 こまねずみのようにサッカーボールを蹴りつづける少年の後ろ姿に、蓮は見覚えがあった。手をつないでいる幼い涼野も顔を強張らせ、じっとその少年の後ろ姿を眺めていた。つないでいる小さな手が震える。

「あれがはるやだ」

 幼い涼野が言って、蓮は幼い涼野に公園へ入るよ、と目配せをする。
 蓮が公園に足を踏み入れると、幼い涼野も黙って一歩を踏み出した。幼い南雲の元へ近づくたび、壁に跳ね返ったボールが出す軽い音が、どんどん大きくなっていく。幼い南雲はボールを追うのに夢中で、ちっとも振り向いてくれない。ただ、夢中と言うより、ボールにやつあたりをしている印象を蓮は受けた。その証拠に、幼い南雲が蹴ったボールはむちゃくちゃな方向に跳びまくっているし、跳ねかえるスピードもかなり強い。蓮もイライラしている時に、ボールを蹴ると、全く同じようになるのでよくわかる。そして、話しかけると怒ってくるであろうこともよくわかる。
 どう話しかけるか、と迷っていた時、運がいいことに幼い南雲がボールを蹴り損ねてくれた。跳ねかえったボールを蹴ろうとしたが、狙う位置を外したらしい。ボールは、幼い南雲の脇をすり抜け、蓮のもとにまっすぐ転がってくる。
 蓮はボールが足元に来るのを待つと、右足の裏でボールを踏みつけ、ボールの動きを止めた。そしてつま先でボールを前に出すと、つま先でひょいっとボールを持ち上げ、軽く上げ、幼い涼野の手を握っているのとは反対の手のひらの上に乗せる。その光景を幼い風介は、食い入るように見つめていた。と、そこへボールの持ち主が走ってきた。

(やっぱり晴矢だ)

 幼い南雲を蓮はしげしげと眺めた。やはり、南雲晴矢その人だった。背丈は幼い涼野とほとんど一緒で、蓮の腰ほど。髪型なんかも蓮が知る南雲と変わらない。ただ、顔つきは少々生意気そうだ。切れ長の金の瞳は、強い意志の様なものを感じさせる。顔つきを生意気にし、そのまま南雲を小さくした、という表現がどうにもしっくりくる。
 幼い南雲は蓮の手のひらの上にあるボールに目をやっていたが、幼い涼野を見つけた途端、露骨に顔をしかめた。
 
〜つづく〜
んだー親が何故か急に帰ってくる言うので続きが〜!こっから南雲のターンなのに^^;
ちなみに、蓮は探偵(?)の才能がある設定がここで初披露^^