二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.26 )
日時: 2010/05/18 15:47
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: XHLJtWbQ)

二章 始まりの代わりに

 翌日の朝。空は蓮の旅立ちを喜んで送ってくれるらしい。空はうっすらとした青がどこまでも広がり、すでにのぼっている太陽は大きな光の輪を作り、にっこりと穏やかに微笑んでいた。
 そんな青空の元にお礼としばしの別れの意味を込め、蓮は思い切り背伸びをした。それからふうっと深呼吸をし、

「いい天気だね! 秋(あき)さん。夏未(なつみ)さん」

 笑みを浮かべながら、自分の両脇を歩く重い空気たちに元気よく話しかける。しかしながら反応が悪い。うん……と戸惑いがちに答えただけで、重い空気たちはまた視線を下に向けてしまう。さっきからこうだとはいえ、上手くいかないものである。

(う〜ん。うまくいかないなぁ)



 話は十分ほど前にさかのぼる。
 蓮は、昨晩円堂と学校へ行く約束を取り付けた。一人で行くのはさみしいし、サッカー部の顔なじみは彼くらいしかいないからだ。頑張って早起きし、円堂と合流した。それから学校へ行く途中でのことであった。
 
「「あ……円堂くんっ」」

 歩き始めてすぐに、二人の女の子が二人の前に立った。一人は深い緑色の髪を耳の下まで伸ばし、右側の前髪をヘアピンでとめている少女——木野 秋(きの あき)。もう一人はウェーブがかかった栗色の髪を肩にかかるくらいまで伸ばしていて、なかなか端整(たんせい)な顔立ちをした少女——雷門 夏未(らいもん なつみ)。円堂の話によれば、二人ともサッカー部のマネージャーらしい。

「夏未! それに秋も! どうしたんだ?」

 円堂に名前を呼ばれた二人は様子がおかしい。頬は紅潮し、やけにもじもじしている。視線は泳いでいて、円堂をまっすぐ見ようとしていない。時々二人で顔を見合わせては、はっとしたような顔になり、また視線をずらす。

「あの……秋さん? 夏未さん?」

 蓮がいることに気付かなかったらしい。声をかけると、二人とも驚愕(きょうがく)の顔つきでこちらを向いた。

「あっ。白鳥くん」
「どうしてあなたが円堂くんと歩いているのよ!? あなたの家は逆方向じゃなくって?」

 いきなり夏未にくってかかられ、蓮は少々むっとしながら答える。

「今日は一緒に行く約束をしていたんだ」

 そしてわざとらしく、

「……ひょっとして、ボク邪魔かな?」
「そんなことないぜ! 人数が多いほど楽しいだろ?」

 男円堂、まだまだうとい。

〜つづく〜