二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜☆番外編更新中 ( No.263 )
- 日時: 2011/02/15 17:43
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: Ua50T30Q)
「おにいちゃん、いまかえれないっていったよな!」
蓮の大きな声で言った独り言を聞いた幼い南雲が声を弾ませる。その横では、何やら嬉しそうな顔で笑っている幼い蓮とよく見ると楽しそうな顔をしている幼い涼野が、立ち止まっている蓮の背中に目をやっていた。
蓮は、子供たちの楽しそうな声と期待するような眼差しを背中に感じながら、油が切れ掛かったブリキのおもちゃのように振り向く。その顔にはとっさに作った笑顔が貼り付けられていた。
「いや、そんなことは言ってないよ」
とりあえず否定はしてみるものの、内心、幼い南雲たちに独り言を聞かれたことが焦っている。自然と声音にも出てしまい、うそをついていることはバレバレだった。
幼い南雲は意地の悪い笑みを作ると、横にいる幼い涼野と幼い蓮に確認するように問う。
「ふうすけとれんもきこえただろ?」
「そうだな」
「うん」
二人が頷くのを確認すると、幼い南雲はほら見ろ、と言わんばかりに挑戦的な笑いを顔に浮かべる。
「ほらな!」
「…………」
何にも言い返せない蓮はばつが悪そうに視線を宙に彷徨わせる(さまよわせる)。子供に流されているが、下手な言い訳なら考えようと思えばできたはずだ。なのに、言い返せないのはこの頃から続く不思議な縁(えにし)のせいだろう。一芝居をうつのが得意な蓮ではあるが、南雲や涼野にはどうにもそれができない。芝居を打ってもなぜか見破られるからだ。今の二人は確かに子供だけれど、きっとばれるだろうな——と思い、蓮は口をつぐんでいるのだ。
「ぼくね、もっとたろうおにいちゃんとおはなししたい! もっといっしょにいて!」
そんな時、幼い蓮が珍しく自己主張をした。声に気づいて蓮が幼い自分の方を見ると、もっと一緒にいて欲しいと、強く訴えるような顔をしている。横では、幼い涼野が、不安げな目で蓮を見上げている。
「だめなのか?」
自分のせいで蓮がいなくなるとでも思っているのか、蓮にそう尋ねると、申し訳なさそうに俯いてしまう。蓮の良心が潮騒のように騒ぐ。傍から見れば年上である蓮が、幼い涼野をいじめて下を向かせているように見える。
そんな幼い涼野の様子を見ていた、幼い南雲は幼い蓮に何やら目配せをする。途端、幼い蓮は急に瞳を潤ませ始める。鼻をすすり、わざとらしく目尻から水をこぼし始める。その様子を見ていた蓮は、心の中で舌打ちをする。間違いなく嘘泣きだからである。
よく見ると、瞳は潤んでいるが、目元は笑っている。ただ、よほど注意深く見ないとわからない泣き顔で、大抵の大人はだませるだろう。
「おにいちゃんがいじめたー!」
迫真の演技とも言える泣き声。しかもわざとらしく大きな声で泣き叫んだ。すぐさま、公園の外を通りかかっていた大人たち数名が足を止め、蓮に非難の視線を浴びせる。
ずぶずぶと刺さるような視線をまともに受けながら、蓮は誤解であることを示そうと、愛想笑いを浮かべながら、両手を振り、足を一歩下げる。
しかし、幼い蓮は嘘泣きをまだ続けているし、調子に乗った幼い南雲は嫌らしくこのひとがいじめた! と、蓮を指差しながら嘘を吹聴(ふいちょう)して歩く。大人たちの視線がますます厳しくなる。
とうとう耐えられなくなった蓮は、おもむろに幼い涼野の手を取ると、どかどかと公園の出口に向かって歩き始めた。それを見ていた幼い蓮は泣くのを、幼い南雲は声を張り上げるのを止め、二人の後を追いかけ始める。
「……わかったよ」
ボールを小脇に抱えながら、蓮は不機嫌な声を出した。そして立ち止まる。
「もう少しだけ一緒にいてあげる」
悔しそうな顔で、蓮は後から歩いてくる幼い南雲と幼い蓮に向かって言った。その瞬間、幼い二人は憎らしいほどにほくそ笑んだ。してやられた……と蓮は敗北感を味わいながら公園の地面を睨みつける。
〜つづく〜
振り回される蓮もいいかな〜と思いまして。
ところで昨日は雪が積もりましたね!私の家の周りもかなり積もりました。
ところで『蓮が』を変換しようとして煉瓦(れんが)になったのに吹きましたww蓮と連携技とか言いづらいですよね。連携技。まだ出してませんが、いくつか案はあります。もちろん私の好みのことばかり……なぜかアフロディとの案もあったりします。