二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜さ、参照が5000だと!? ( No.293 )
- 日時: 2011/02/26 09:40
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: Ua50T30Q)
- 参照: 涼野&アフロディは料理下手設定なり。
「せっかくの楽しいバレンタインに、戦術は不釣合いだよ……ぜ」
チナン(蓮)は唇の端を持ち上げ、挑発するような顔付きでチャンスゥを見る。不敵に笑うチャンスゥと挑発するように笑うチナン(蓮)。二人は互いに一歩も引かず、にらみ合ったまま長いこと見つめ合っていた。長いこと均衡が保たれていたが、それを破るようにチャンスゥがふうっと長い息を吐く。
「今にわかりますよ」
今までは違い口元に柔らかい笑みを浮かべるチャンスゥ。今までとは態度が打って変わり、何を考えているのかわからない。チナン(蓮)は警戒するように身構える。その動きを見たチャンスゥは——何も言わずにチナン(蓮)に背を向け、チナン(蓮)から遠ざかっていった。
こうして——日がたつのは早く、夜。暗くなっても、まだ雪は降り続いていた。
結局のところ、この日、蓮がチナンに扮していることを見破った人間は誰もいなかった。蓮に化けたチナンは、本当にジンソン監督とどこかに外出していたし、他のファイアードラゴンメンバーも今日はみんな蓮のことを“チナン”として扱った。
あまりにもみんなが“チナン”として扱うため、蓮は一日中高いノリで生きなければならなかった。チナンは元々明るい性格でかなりノリもいい。彼になりきった蓮は、無理にハイテンションで一日を過ごし——夕食後にはすっかり気疲れしていた。夕食をさっさと切り上げ、チナンの部屋のベッドに仰向けで寝転んでいた。邪魔なので、ニット帽は外して、枕の脇に置いてある。
蓮がベットで何をするわけでもなく天井とにらみ合いをしていると、突如扉が壊さんばかりの勢いで開けられ、どたどたと大きな足音がする。
何事かと、蓮はだるそうに頭だけを動かして、扉の方を見ると、南雲が部屋に入ってきていた。片手を背中の後ろに隠し、焦っているのか動作がいつもより慌しい。
「おい、チナン。い……」
南雲はチナンを呼びながら部屋に一歩足を踏み入れて、ぼんやりとした黒い瞳をこちらに向ける蓮と目が合う。そのまま言葉を続けられなくなった。大きく目を見開くと一歩後退する。
「れ、れれ……れれれ」
驚愕の表情で固まり、ろれつが回らなくなっている南雲に、蓮は呆れた視線を送る。
「何、そんな幽霊でも見たような顔して」
蓮が冷静な声音で言うと、南雲は我に帰ったように数回瞬きをした。それからかなり大またで蓮に近づくと、蓮から視線をそらしながら、背中に隠していた手を突き出した。見ると、手には小さな紙袋が提げられていた。
腹筋を使って上半身を起こすと、蓮は静かに紙袋を受け取る。途端、南雲は逃げるようにドアへと向かい、ドアノブに手をかける。その時、一度だけ振り返り、
「明日までに食わなかったら、<カオスブレイク>喰らわせるからな!」
何やら目つきを厳しくしながら吐き捨てるように言い残し、ドアを乱暴に開け、そして閉めた。一人残された蓮は紙袋の中に手を突っ込む。紙袋がかさりと乾いた音を立てた。
手探りで紙袋の中を探ると、ビニールのようなざらざらした手ごたえがあった。それを掴んで持ち上げると、針金で雑に口が閉められたビニールの子袋が一つ。改めて袋の中を覗くと、輪ゴムで口が止められた子袋が後2つ入っていた。
子袋の中には、いい色合いに焼けたたまごボーロが、袋いっぱいに収められている。焼けた色合いはいいのだが、大きさはまちまちで、大きいものから小さいものまで鎮座している。雑な性格の晴矢らしいたまごボーロである。
蓮は、大きさがばらばらの卵ボーロたちを見つめると、袋を開き、そのうちのいくつかを口に放り込んだ。見た目はバラバラでも、味は一律。ほどよい甘さが口に広がった。
「あれ、風介?」
しばらくしてチナンが戻ってきたので、自分の部屋に戻ろうとした蓮は、自分の部屋へと続くドアの前に涼野がいるのを発見した。腕組みをしながら、ドアに寄りかかり、瞑想でもするように目を閉じている。
蓮の声に気づいたのか、涼野は目を開けて、身体を蓮の方に向ける。
「キミは来るのがいつも遅い」
「え? あ、ご、ごめん」
涼野の真正面に立った蓮は、心底不機嫌そうな涼野の声で怒られ、反射的に頭を下げた。
すると涼野は、蓮の左腕にある紙袋に視線を移し、悔しそうな顔付きで、苛立ちを込めた舌打ちをする。
「……晴矢に先を越されたか」
「へ?」
「まあ、いい」
涼野は真顔に戻ると、蓮の部屋と続く扉を開き、中に入った。数秒位して、片手に近くのコンビニの店名が入ったビニール袋を提げて戻ってきた。涼野はそれをおずおずと蓮に差し出す。
「……これをキミに渡したかったのだ」
「ありがとう風介」
蓮はにっこりと笑って紙袋をもらうと、中に入っているものを出した。小さい袋の中には、形が歪(いびつ)なクッキーが数枚ある。形は歪だが、クッキー自体はこんがりと狐色に焼けていて、とてもおいしそうに見える。
もらったはいいが、涼野は料理において、塩と砂糖を間違えて入れたり、米を洗剤で洗うような人間。蓮はせっかくの手作りでありながら喜べずにいた。クッキーと長い時間、にらみ合いを続けている。
自分が料理下手であることを涼野は十分理解しているらしく、
「私としてはこれ以上になく上手くいったほうだ」
小さな声で弱弱しく呟いた。それがさらに不安を煽り、蓮は引きつった笑みで風介を見る。そんな蓮の顔を見た涼野の瞳が、暗い陰を落とし始めた。
「は、晴矢を実験台にしたんだろ? 大丈夫だよ」
蓮が思いついたことを言うと、涼野はむっとした面を上げる
「晴矢もアフロディも私に毒見をさせたからおあいこだ」
涼野が愚痴をこぼす横で、蓮はもらった子袋を止めていたリボンを解き、クッキーを一枚思い切って口に入れていた。蓮の黒い瞳が驚きで揺れる。
「あっ」
小さく声を漏らし、
「おいしい。おいしいよ、風介!」
蓮は目を輝かせながら涼野を褒めた。二枚目も口に運ぶ。
クッキーは口に入れるとボロボロと崩れたが、バターの風味が舌の上に広がった。甘さもほどよい甘さで、しつこくない。
涼野にしては上手い味に蓮は、おいしいと連呼しながらあっという間に一袋食べ切った。その光景を涼野は、いつもの無表情——でも、口角はわずかにあげて、見つめていた。
「蓮、口の周りがクッキーだらけだぞ」
珍しく涼野が小さく笑い声を立てながら、勝ち誇った顔で蓮に指摘する。蓮の口の周りには、クッキーのかすが唇や周りに張り付いている。蓮はジャージのポケットからハンカチを取り出すと、急いで口の周りを拭い始めた。
「しっかし、よく手作りしようなんて思ったな。買えばいいのに」
ハンカチで口の汚れを取りながら思ったことをそのまま伝えると、涼野はふんっと鼻で笑う。口元に柔らかい笑みを浮かべた。
「なら聞こう。キミは私にチョコを渡すとしたらどうする?」
「手作りするかな。だって他ならぬ風介にあげるんだし」
蓮はにっこりと笑いながら言った。涼野はドアを閉め、またもたれかかる。憂いに満ちた瞳を天井にさ迷わせ、長いため息を吐く。
「私は何故か……キミに手作りしようと思ってしまった。作り物を渡すだけでは、自分の気がすまなかった」
「そういえば僕も晴矢や風介に安っぽいチョコはやだなぁ」
蓮も涼野の真似をして壁に寄りかかり、視線を天井に向ける。黒ずんだ天井に、木の木目が広がってる。
蓮は、やっぱり涼野の真似をして、長く息を吐く。冷たい空気が肺の奥へと流れていった。そして大きく深呼吸する。
「それはなんでだろ。風介はわかるか?」
慈しむような笑みをつくり、涼野の答えを待つ。
「……そうだな」
涼野は視線を少し下げ、前をまっすぐ見つめる。
「キミも私も似たような人間だということだろう」
涼野が言って、
「”Birds of a feather flock together“、かな」
蓮が英語で呟いた。
〜つづく〜
「”Birds of a feather flock together“」は、英語で「類は友を呼ぶ」って諺ですbなんで英語かは。。かっこいいから(←これって中二ですか?)
今回は見せ場(?)の二人がバレンタインのものを渡すシーンww
南雲はツンデレ、涼野はわりかし控えめに。読者の皆さんは、どっちの渡し方にぐっとくるんでしょう? よければコメント求m((
あ、しずくの描写下手くそでぐっと来ない。うん、その選択肢が一番多そうw
南雲&アフロディはアフターフォローあります。三人均等にエピソードを作りたいなぁ^^
ところで
気づいたら参照が……とてつもなく法外な数値を記録していました。5,5000? アフロディがヘブンズタイムしてないよね? ガゼルがノーザンインパクトうってないよね? バーンがファイアトルネード打ってないよね?
な、なんか感謝の気持ちがでかすぎて何にも言えねっ! くっりくしてくださる人はみんなてるみん。コメントなくてもてるみん。
これからもこの小説をよろしくお願いいたします♪