二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナズマイレブン】〜試練の戦い〜え、参照6000? ( No.373 )
日時: 2011/03/25 14:04
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: ZgrHCz15)
参照: 2ページ目。

 蓮の言葉に鬼道は手を顎に当てた。風丸と円堂と位置を入れ替え、物思いにふけ始める。二人が鉄扉の向こうを盗み見る間、蓮は若干下向き加減になっている鬼道に近づいた。

「人……か。恐らくだが、地球人の協力者もいるのだろう。宇宙人は知識と策、そして石だけを与え、やつらに協力する人間が今の事態を引き起こしているのかもしれない」

「それなら、エイリア学園の能力も説明がつくね。元々は人間だけど、あの石の力で能力を飛躍的(ひやくてき)に伸ばしているってね」

  鬼道の独り言に蓮は天を仰ぎながら同意した。その時、蓮は誰かに肩を叩かれた。気づかなかったが、鬼道が位置的に叩けない方の肩を叩かれた。
 蓮が反射的に振り向いたところ、一人の男が立っていた。
 歳が相当上であるように思える小太りの男だ。口元に白いひげをたっぷりと蓄え、目には丸い小さめなサングラス。頭には濃い紫のバンダナを巻き、中華風のバンダナと同じ色の服を着ている。蓮は敵かと思い、目つきを鋭くして睨むと、鉄扉を睨んでいた円堂が振り返り、小さく、だが明るい声を出した。

「あ、響木(ひびき)監督!」

 円堂が駆け寄ると、続いて風丸と鬼道も響木の周りに集まり始めた。その顔に恐怖や焦りといったものはなく、むしろ頼っているような顔付きだ。雷門の知り合いなのだろうか。
 蓮があんぐりと口を開けていると、響木の方から蓮に歩み寄ってきた。

「お前は雷門の新入り、白鳥だな?」

 その言葉で大まかな察しはついたものの、蓮は念を押すように一応、尋ねた。

「え、どうして僕の事を知っているんですか?」

「白鳥、響木監督はオレたち雷門サッカー部の監督なんだぜ!」

「普段は雷雷軒って言って、ラーメン屋の店主をやっているんだ」

 円堂と風丸が順々に小声で解説し、蓮は予想通りで納得した。
 蓮は緊張した新入りのようにびしっと体制を整え、よろしくおねがいしますと響木に頭を下げる。もちろん声量を落として。すると響木は苦笑しだす。

「そういえば転校初日にお前には迷惑をかけたな。ここで謝らせてもらう」

 今度は円堂たちがぽかんとする番だった。わけがわからないと言った顔で蓮に目を向け、蓮ははっとした顔でいつも通りの声量を出そうとして、慌てて口を塞ぐ。一息つくと、ひそひそ声で話し出した。

「あ、もしかして転校初日に傘美野に行くよう僕の家に電話かけてきたのも、転校初日なのに瞳子監督が僕のことを知っていたのも——」

「そうだ。俺が全て手を回した」

 蓮がもう気にしていません、と取り繕うと、円堂が口を開いた。

「ところで、響木監督がどうして愛媛に? 鬼瓦さんもいたみたいだし」

「愛媛で子供が攫われるという事件に、とある“男”が関っていると聞いてな。ここまで調べに来たんだ」

「“男”って?」

 蓮の問いに響木は、鬼道に哀れむような、ためらうような視線を投げかけたその様子を察した鬼道が首をかしげる。鬼道に何か関係があることだろうか。
 その時、蓮は先日鬼道の携帯に帝国学園の仲間から連絡があったことを思い出した。そしてすぐ上にある真・帝国学園の文字。とても無関係とは思えない。

「帝国学園で何かあったんですか?」

 心配そうに蓮が尋ねると、鬼道は口を開けた。ゴーグルの中の赤い瞳が驚きで揺れている。ここまで動揺を見せる鬼道は始めてみた。話してください、と懇願するような眼差しを鬼道は響木に向ける。動作がいつもより慌しく見える。響木は、話すのをためらうように考え込み始めた。
 しばし沈黙の時間が続き、響木が重い口を開く。

「実は影山 零治(かげやま れいじ)が、この愛媛にいる可能性があるんだ」

〜つづく〜