二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.46 )
- 日時: 2010/07/24 18:30
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: zz4.lYYr)
雷門町のバスエリアで降りた蓮は、電車とバスを乗り継ぎ、さらに数分歩いて稲妻町へと戻って来ていた。まだ病院の開院時間でもないし、近くのコーヒーショップに入り、通勤をするであろう大人たちに混じり、コーヒーを飲んでいる。
地理はめっぽう苦手だが、今の世には携帯と言う便利なものがあり、ネットを使えばたちどころにばしょがわかると言う訳である。もう稲妻病院はすぐ近くで、迷うこともない。
のんびりしているとあっという間に病院の開院時間。出勤しようと動きだした大人たちに交じり、蓮も外へと出た。
稲妻総合病院はコーヒーショップからほんの数分の場所にある。地域でもかなり大きな病院の一つで、三階建てのマンションの様な建物が、堂々と立っている。車が100台は置けそうな駐車場を走り抜け、中に入る。靴を脱いで下駄箱に入れ、まっすぐ受付へと進む。
病院らしい消毒液の香りが鼻を突いた。ソファに座った子供がマスクをし、せき込んでいる。その横では熱っぽい顔をした大人が退屈そうに雑誌を読んでいる。名前を呼ばれた人が、診療室に消えて行く。
蓮は自然とそういった人々の近くを通らない道を進んだ。受け付けに行くと、若い女性の人が微笑んでくれる。
「こんにちわ。あら、そのジャージ雷門中学校の子ね? ここに入院しているサッカー部の子のお見舞いかしら?」
「えっと……違います。豪炎寺 夕香ちゃんのお見舞いに来たんです」
すると受付の人はああ! とはっとしたような表情になった。
「豪炎寺先生の娘さん、夕香ちゃんのお見舞いね。その子なら三階に入院しているわ。そこの階段から上がって、すぐ右手の病室よ」
「ありがとうございます!」
受付の女性にお礼を言うと、蓮は受付から数メートル離れた場所にある階段をのぼりはじめた。天井に裸電球があるだけの、非常階段の様な場所。夜、一人で歩いたら怖いだろうな……と思う。こういう病院は、当たり前のように人が死んでいく場所。ひょっとしたら、死んだことに気づかない幽霊がここを歩いているかもしれないのだ。
「ないない……」
二階を通り過ぎ、ようやく三階に着いた。
受付で言われた通り右手に進むと、病室があった。ネームプレートに『豪炎寺 夕香』ときれいな字で、書かれている。
「ここが夕香ちゃんの病室……」
蓮は騒ぎ立てる胸を押さえるように深呼吸をし、ガラッと引き戸式のドアを右にスライドさせる。
窓が開けられていて、白いカーテンが風に揺れていた。病室は4畳ほどの広さで、入ってすぐに洗面台。その隣に木製のクローゼットが置いてある。窓辺にはベッドが置かれ、ベッドの左横には棚が設置。上にテレビと黄色い花が生けられた花瓶がある。
「だあれ?」
ベッドにいる少女と目があった。
青いパジャマ姿の少女。歳の頃は6,7歳に見える。茶色い髪を二つ結びの三つ編みにしていて、大きく小動物を思わせる愛くるしい茶色の目がなんともかわいらしい——彼女が夕香だろう。
「あ! そのジャージ!」
首を傾げた夕香だったが、蓮のジャージを見るなり声を上げた。
「おにいちゃんとおんなじ学校の人だ」
「えっと……僕は白鳥 蓮。キミ、夕香ちゃんだよね?」
蓮は夕香のベッドわきのイスに座る。それから小さい子に慣れていないため、少し緊張しながら自己紹介をする。
しかし一方の夕香は、
「白鳥おにいちゃん? 知ってるよ! この前お兄ちゃんが新しい仲間が出来たって、おはなししてくれたから!」
子供らしいあどけない笑顔で答えてくれる。明るい性格なのか、人見知りは全くしていない。
おかげで蓮も少し、緊張がほぐれる。
「ねえ夕香ちゃん」
あくまで平静を、自然そうに演じながら蓮は、
「最近怪しい人が来ていないかな?」
夕香に聞きたいことを尋ねる。
かわいらしく首を傾げた夕香だったが、思い当たることがあるらしい。来てるよ! と不安げな顔で言った。
「あのね”おじさん”が、ときどき夕香の病室に来るの。それでね……夕香すっごく怖いの」
「おじさん? どんな人かな?」
「あのね夕香、絵が得意だから描いてあげるね!」
夕香はベッド横のタンスの引出しを開き、中からスケッチブックとクレヨンを取り出した。
スケッチブックを何枚かめくるので、蓮はそっとその絵を覗き込む。リンゴに家族の絵……どれも子供ながらに、ものの特徴をうまく掴んでいるなかなか上手な絵である。
白いページが出てくると夕香は、クレヨンを丁寧にすべらせていく。
やがて完成した一枚の絵は——人らしいが人に見えない。そんなやつがいる不思議な絵であった。
〜つづく〜
夕香ちゃんって絵が上手い気がするんですよね〜。
そして今回は蓮が携帯を使っていますが、私は携帯持ってないんですよ;; 親が大学にならないとだめだ〜と言うんです。それでイナズマイレブンモバイル出来なくて、むちゃくちゃ涙目です。