二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.55 )
- 日時: 2010/08/03 15:38
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: NHSXMCvT)
屋上を降りた塔子と蓮は、稲妻総合病院二階の負傷した雷門イレブンの5人を見舞っていた。
二階の広い20畳ほどはあろう部屋。夕香の部屋と形状はあまり変わらない。ベッドが4つ設置され、それぞれ4人が横になっている。
松葉杖を片手に蓮と塔子を応対するのは、ピンクと青ボーダーで猫の耳のようなものがついた帽子をかぶる少年——松野 空介(まつの くうすけ)。愛称はマックス。結構小柄でぱっちりと開いた丸い黒い目は、まさに動物チック。帽子からわずかにのぞく茶色の短い髪から思うに、りすあたりかもしれない。
「白鳥に塔子かぁ〜。わざわざお見舞いに来てくれてありがとう。みんなはまだ寝てるけど、ボクが話に乗るよ」
まあ座ってよ、と言われ二人はマックスにケガ人のマックスを立たせて申し訳ないと思いつつ、見舞客用のイスに座る。
マックス以外の4人は病人のうすい青パジャマを身にまとい、すやすやと眠りに落ちている。二人ほど、足に包帯を巻かれギプスで固定されていた。
「けがの調子はどう?」
眠りに落ちる四人を起こさないよう、蓮はそっと小声でマックスに尋ねる。
するとマックスはん〜と渋い表情を浮かべた。
「歩けるようにはなったけど……ずっと歩いていられるわけじゃないんだ。雷門サッカー部に戻るには、まだまだ時間がかかりそうだよ」
「そっか。『戻ってきたら猛特訓だぞ』って、円堂が言ってたぞ」
「あはは。キャプテンらしいね」
マックスは小声でだがしばらく笑った。
つられて蓮や塔子もトーンダウンして一緒に笑う。
「ところで地上最強への旅はどうなっているんだい?」
逆にマックスに問い返され、今度は塔子と蓮の顔つきが曇る。
「僕たち、奈良でジェミニストームって言う、新しいエイリア学園のチームに負けてしまったんだ。しかも監督は豪炎寺くんをチームから外しちゃって——」
蓮が悲しそうな面持ちをしているのに気づいた塔子が慌てて明るい調子で、
「で、でもこれから北海道に新しいストライカーを探しに行くんだ!」
「ストライカー?」「へー」
瞳子に何も聞かずに飛び出してきた蓮は、新しい情報にいささか驚く。
「へ〜って白鳥も知っていることだろ?」
「あはは……」
マックスに突っ込みを入れられ、蓮は引きつった笑みを浮かべた。
「北海道にある白恋中学校に”吹雪 士郎(ふぶき しろう)”ってやつがいるらしんだ。情報によると、一人で一試合に十点叩きだし、”ブリザードの吹雪”とか”熊殺し”っていう異名がある。……らしいんだ」
「……らしい?」
微妙なニュアンスのちがいに気がついた蓮が、首をかしげる。すると塔子は、ああ……と困ったような表情をする。
「なんでも白恋中学校はフットボールフロンティアに出ていないらしくってさ、情報が手に入らないらしいんだ。後わかっているのは、<エターナルブリザード>って言う必殺技を使うことくらいらしいぞ」
「まあ一人だけ強い選手がいても、他がダメダメじゃ全国大会には出れないよね」
そうマックスが言って、
「でも<エターナルブリザード>には期待できそうだな。今のあたしたちには決定力が欠けている! 吹雪ってやつがいれば、エイリア学園もきっと倒せる!」
と塔子が期待に胸を膨らます。
その言葉に若干マックスの眉がひそまった。
「じゃあきみたち、そろそろ北海道に行くんだろ?」
マックスはいつもののんな顔に戻り、言う。
「あ、そうだな。白鳥、さっさと行こうぜ!」
すごい勢いで塔子が扉を開けて飛び出て行った。
蓮は扉の前まで歩くと、一度マックスの方に振り返る。
「うん。またね、みんな! 今度こっちに寄ったら、また顔出すから」
「バイバイ」
マックスが手を振るのを確認すると、蓮は扉を閉めた。
二人を見送ったマックスは
「本当はボクたちも二人のように走りたい……」
さびしそうに呟いた。
〜つづく〜