二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.56 )
日時: 2010/07/30 14:05
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: zz4.lYYr)

 病院を出た塔子と蓮は、どこに行くあてもなくとりあえず近くの町内公園に来ていた。
 塗装がはげ鉄色が見えているブランコとシーソーがあるくらいの小さな公園。そこにあるやっぱり塗装が落ちて木の色があらわになっている古いベンチに座り

「ところで……いつ北海道に行く?」

 次の北海道行きの計画を話し合っていた。

「そうだな〜。北海道行きの飛行機のチケットなら二人分もうとってあるけど、出発は明日なんだよな」 
「明日かぁ」

 蓮はベンチの背もたれに頭を乗せ、空を見やる。
 今日も突き抜けるような青空の中に、小さく音を立てながら飛行機が飛んでいた。

「そういえば瞳子監督に一人で行くなんて言ったけれど、今思うと無茶な発言だった。激しく後悔」
「少しは後先考えて行動した方がいいぞ」
「……だね。昔からよく言われてたよ」

 と蓮はそこまで言って、はっとしたような表情になる。

「——あれ? 誰に言われてたんだっけ?」
「なんだよ、記憶喪失か?」

 茶化すように塔子に笑われ、蓮は背もたれから背を離し、腕組みをして前かがみになる。

「ん〜実は小さいころのこと、あんまり覚えてないんだ」
「なんかあったのか?」
「小学校3年の頃より前の記憶がところどころぶっとんでんだ。親に言わせると、家の階段から落ちて頭をうったらしい」
「白鳥意外とドジだな。でもぶっとんで困ることとかあるのか?」

 しばらく蓮は考え込むポーズをし、首を横に振る。

「ないね。友達のことも、勉強のことも覚えてたし」
「白鳥ひょっとして、そのせいで地理の知識が全部なくなったんじゃないか?」

 地理が苦手なことをからかってくる塔子に、憤りを覚えつつ蓮は言葉に力を込める。

「それはない! 仮に忘れているとしたら——」

 そう言いかけて不意に脳裏に涼野がよぎった。
 会ったこともないのに……すごく懐かしい感じがする不思議な少年——涼野 風介。

「ねえ塔子さん」

 蓮は神妙な面持ちで口を開く。

「なんだ?」
「……この前初めて会った子——涼野 風介って言う子に、すごい懐かしい感じを覚えたんだ。こういうのってどう思う?」
「急にどうって言われてもな……」

 難しい質問なのだろう。塔子は眉根をよせながら、さき程の蓮のように背もたれによりかかり、空中へと視線を泳がせる。

「”懐かしい”ってことは、白鳥がどっかで会った子なんじゃないか? その頭を強打して忘れた頃かもしれないし、ひょっとしたら前世とか」
「ぜ、前世? 塔子さんってそういうの信じる方?」

 蓮が訪ねて、塔子は勢いをつけて起き上がる。

「ああ、信じるよ! だってパパが『人と人が出会うのは生まれてくる前に、互いが望んだからだ。塔子と私も前世では、家族や友達だったのかもしれない』って前に言ってたからな。そいつと蓮はどっかで知り合いだから、懐かしい気がするんじゃないか?」

 そう言えば涼野は自分が名乗った時、少しばかり彼は驚いたような表情をしていた。と、いうことはやはり知り合いだったのだろうか。しかし思い出すと涼野は、久しぶりとかそんなことは一言も口にしていない。何度反芻(はんすう)しても、やはり……初対面。そう蓮は結論づける。

「でも向こうは全くの初対面って顔してた」

 すると塔子はう〜んと人差し指を唇の下に当て、

「じゃあ『既視感(デジャビュ)』ってやつかな?」
「『既視感(デジャビュ)』?」
「フランス語の言葉で、それまで一度も経験したことがないのに、かつて経験したことがあるように思うってことだって。ん〜つまりだな。白鳥が涼野と初めて会うのに、むかしどっかで出会った気がする。それは”既視感”だけど、あたしはこう思う。白鳥は涼野とつながってるからじゃないか?」
「なにが?」

 塔子は手を自分の胸に当て、ポンと軽くたたく。

「”心”、だよ」
「心?」
「心が通じあっているから懐かしくなるんだろ。やっぱり、前世の白鳥のおくさんとか子どもとか……親友なんじゃないか?」

 そんなことが塔子の口から出てくることに驚きつつ、蓮は改めて自分は涼野のことをかなり気に行っていることに気づく。

「風介と心が通じ合っている……か。だとしたら、彼とはもっと仲良くなりたいな」
「今度あたしにも会わせてくれよ! どんなやつなんだ?」

 え〜とか口ごもりながら、蓮は涼野を回想する。
 冷静に見えて……表情はめまぐるしく変化しいたし。微笑んでいた顔はなにより可愛らしかった。

「かなり冷静で、表情が無表情に近いんだ。でもよ〜く見てると少しずつだけど変化していて、面白かった」
「なるほど。ミリ単位で変化するってやつか。SPフィクサーズにもそんなタイプのやつはいるよ」
「へぇ……」

 塔子とクールな人間について話を咲かせながら、蓮は何気なしにふっと空を見上げた。そしてわかるはずのない答えを模索する。

(風介……キミはいったい誰なんだ?)

 風が吹き、蓮の短い髪をいたずらに揺らしていく。今日も空は青い。

〜つづく〜
って、今回の話は意味不明ですよね。
涼野と蓮の関係についての言及(?)てきな感じです。多分みなさま予想はつかれていると思いますが、できれば最後にびっくりするような展開を用意したいいです^^